L×月(長編)

□熱
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季節の境目だからか、月くんが体調を崩し、高熱を出した。


浅く呼吸を繰り返し、苦しそうに息をする月くんが可哀想で、とても心配だった。



私は、月くんの横に添い寝して、ずっと離れず看病した。



水枕を変えて、口移しで薬を飲ませ、細い腕に点滴をした。



体が汗ばんだら、温かいタオルで綺麗に拭いた。



パソコンの通信で、依頼されていた仕事を、急ぐ様に催促されたが、それどころでは無かった。



私は軽く謝罪すると、近いうちには済ませると約束した。



私の横で、苦しそうに息を吐く月くんがうっすら目を開けた。



『大丈夫ですか?ツライですよね。早く良くなってくださいね。』



私はまぶたにキスをした。


『ごめんな…さい。キライに…ならないで。』



月くんが、消えそうな声で謝罪してきたので、



『謝る事ないですよ。キライになるはずなんて、ないです。』



と、頭を撫でた。



月くんの瞳から涙が溢れた。


私は、指で涙を優しく拭うと、頬にキスをした。



。。。。。。



暫くして、徐々に体調を回復して行く月くんにホッとする。



お風呂に入りたいと泣く月くんを慰めながら、ようやく消化の良い物なら食べれるまで元気になった。



『お風呂に入りますか?』


私がそう尋ねると嬉しそうに、頷いた。



ヨロヨロと脱衣場に向かおうとする月くんを抱き上げバスルームに連れていった。



抱きかかえたまま、一緒に湯舟に浸かると、



『ありがとう。』



と、月くんが微笑んだ。



綺麗好きな月くんには、拷問の様だっただろう。


私は、優しく撫でながら体を綺麗に洗ってあげた。



裸の月くんを久しぶりに抱き締めた感触は、ツルツルの玉のような肌だった。



しっとりと私の肌に吸い付くようだった。



髪の毛も洗ってあげた。

サラサラの髪の毛は以前に比べるとずいぶん伸びた。

前に髪の毛をカットしてほしいと言われたので、ハサミを持って近づいたら、
震えて泣き出してしまった。


私は慌てて、ハサミを棚へ戻すと、


『止めましょうか。怖かったですね。』


と、抱き締めて宥めた事があった。



つづく
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