L×月(長編)

□手紙
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手紙を書きたいと月くんが、言い出した。



きっと家族に、近況報告でもしたいのだろう。。。



家には戻りたくないと言われていたので、手紙でも出して、家族を安心させる方が良いのかも知れない。



万年筆を握らせ、便箋を渡した。



真横で内容を確認するのも、気が引けたので、私はソファーでケーキでも食べる事にした。



『上手く書けない。』



月くんが、弱音を吐いた。


月くんの万年筆を握る指は、少し震えていた。


握力が落ちてしまったのだろうか。。


それとも、書く内容を戸惑っているのか。。



『ゆっくり、書いたらいいじゃないですか?疲れたら、休憩するんですよ。』


私が優しく声をかけると、小さく頷いた。



私は月くんが手紙を書き終えるまで、仕事をする事にした。



。。。。。。



余りにも部屋が静かなので、仕事が凄く進んだ。


私は大きく伸びをすると、月くんを見た。



未だに、筆を走らせている月くんに、驚かされる。



『だいぶ進みましたか?』


私は少し遠くから声をかけると、



『もうすぐ終わるよ。』



ニッコリ笑った。



一体何を書いたのか・・・


気になったが、封筒に入れられてしまった。



見る気は無かったが、どんな事を書いたのか。。。



まぁ、私がそこまで関与出来ないか。



明日にでも郵便ポストに出しに行こう。。。



月くんが封筒を私に渡した。



その封筒を見ると、宛先には竜崎と書かれていた。



『この手紙、私宛てだったんですか?』



私がビックリした顔をすると、月くんがニッコリ笑った。。



『見て良いですか?』



正直、物凄く嬉しかった。


『恥ずかしいから僕が寝てからだよ。』



月くんが照れ笑いをした。


『ありがとうございます。』



私は月くんを抱き締めると、月くんも私の背中に手を回した。



。。。。。



月くんは、手紙を書いた事が余程疲れたのか、風呂に入ると直ぐに寝てしまった。



月くんが、深い眠りについた事を確認すると、私は窓辺の椅子に座った。


カーテンを開けると、満月だった。



吸い込まれそうな月の輝きに、胸が高鳴った。



私は、ゆっくり封筒から、便箋を出した。


つづく
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