L×月(長編)

□街
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たまには気分でも変えて、外出でもしようと、街に出る事にした。



まだ外に怯えている月くんに、無理をさせれないので、近くのスーパーに行く事にした。



今は日本に居るが、近いうちイギリスにでも帰ろうと思ってる。


日本だからこそ、外に対して恐怖心が強いのかも知れない。



昔の友達だった人に、今の月くんは見られたくないだろう。



まぁ見た目だけでは、変わった所は分からないが。。。



しかし、イギリスまでの距離が遠い。


月くんには、長旅が辛いだろう。


途中で、具合が悪くなっても困るだろうし、心配だ。


でもいつかは連れて帰る。

のどかな大自然に囲まれた、平穏な生活。



外部からのセキュリティも完璧にして、何一つ心配する事のない、平凡な生活。


誰一人として、月くんの事を知らない人達の街で暮らす方が、良いのかも知れない。



『月くん行きましょうか。』


私は、そっと手を握ると、月くんは心配そうに瞳を曇らせた。



『少し外に出るだけですから、気持ち悪くなったり、怖くなったりしてしまったら、
直ぐに戻って来ましょう。』



月くんは小さく頷き、重い腰をあげた。



車で店の近くまで行き、そこから歩いて行く事にした。



部屋に隠りっきりの月くんには多少の運動が必要だ。


まぁ、私も運動不足は否めないが。



ゆっくり歩く月くんに歩幅を合わせて、のんびりと行く事にした。



並木道を抜けると、小さなお店が見えてきた。



『もうすぐで着きますよ。』


と、励ましながら、ようやくたどり着いた。



小さなかごを腕に引っ掻けて、店内をうろうろする。


まぁ、私の行きたい所はお菓子コーナーだが、ネットで購入した方が良さそうな物ばかりだった。


今回は月くんに外に慣れてもらうのが一番の理由だったので、
私には特に買い物は無かった。



『月くん、欲しいものはありますか?何でも良いですよ。』



すると、月くんが一つの物を指さした。



小さなチョコレートが詰まったお菓子の袋だった。



『これで良いんですか?月くんチョコレート嫌いでしょ?』



私が首を傾げると、



『竜崎にだよ。』



と、笑った。



つづく
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