L×月(長編)

□侵入者
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真夜中にパリンと小さな音がした。



音に敏感な私は、直ぐに気付くと体を起こした。



ワタリがこんな真夜中に、食器を洗って割ったとは思えない。



ガラスを割って、外部からの侵入??



私の横で、気持ち良く寝息をたてる月くんの頬を優しく撫でると、ワタリと内線で話した。



ワタリにも聞こえたと言う事で、私は引き出しに隠していたナイフを持った。



月くんのまぶたに優しくキスを落とすと、ベッドを抜け出した。



寝室のガラスは防犯ガラスになっており、ガラスを割って侵入する事は出来ない。



私は、そっと部屋を出ると、鍵を二重にロックした。


しかし、月くんを一人にするのは心配だったので、原因を突き止めスグに戻るつもりだ。



私達の寝室は二階。

不自然なガラスの音がしたのは一階だった。



階段を音を立てずに降りると、長い廊下にでる。


そっと、廊下を覗くと人の気配は無い。


確かにガラスの割れた音がした。


人では無いのか???



私は、廊下を忍び足で歩くと、一つ一つ部屋を確認する。



いっそのこと、館内の電気をつけようか・・・



しかし今つけると、月くんの部屋にも明かりが灯り、私が隣に居ない事を心配するかも知れない。



鍵は内側からは直ぐに開いてしまうので、月くんが外に飛び出しても、危ない。


私は、息を殺しながら捜索を続けた。



ガラスが割られてた場所は、キッチンだった。



その場所には、土足で入ってきた跡があり、誰か侵入した事を物語っていた。



私は小さくため息をつくと、犯人を探す事にした。



屋敷には、無人だと思って侵入したのだろうか。。



金庫に入ってる金は、私にしたら、はした金だ。



さっさと盗んで、退散してほしかった。



相変わらず静まりかえる、館内。


足音すら聞こえない。


もう逃げて居ないのか??


今度からは、全部防犯ガラスにした方が良いのかも知れない。



私は少し後悔した。



すると、何か音がする。



私は耳を澄ませた。



しゅんしゅんと泣きながら、スリッパの音をペタンペタンと鳴らしながら歩く音。



月くんだ!!



私が横に居ない事に気づいて、起きてしまったみたいだ。



づづく
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