L×月(長編)

□朝
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朝起きるとベッドに月くんが居てなかった。



昨日は疲れていたせいか熟睡してしまい、月くんが居なくなった事に気付かなかった。



私は慌ててベッドから抜け出し、部屋を飛び出した。


前に、泥棒が侵入した際にセキュリティを完璧にしたので、
内部からも外部からも、柵を越えれば警報装置が鳴る仕組みになっている。



しかし、警報装置は作動してない。



月くんは、この屋敷内に居ると言う事を表している。


あれから、なかなか部屋を出たがらない月くんの意図が分からないまま、部屋中を調べた。



ワタリがいつも使用しているキッチンから声がする。


私は気づかれないように、そっと扉から覗いた。



月くんは、朝食を作っているようだった。



ワタリに教えてもらいながら、私の大好きなプリンを作っていた。



朝食には、さらっと喉を通り抜けるプリンが一番だ。


私はニッコリ笑うと、気づかれないように、そっと扉を閉めると、また布団に戻った。



月くんに、優しく起こされるのも良いものだ。



私はベッドに滑り込み、もう少し睡眠を取る事にした。



。。。。。。



体を優しく揺すられる。



『りゅう…起きて。朝だよ。』



『ん?月くん、おはようございます。』



私は今目覚めたような素振りで起きた。



月くんが、抱きついて来た時に、フワッと甘い香りがした。



きっと服に香りがついたのだろう。



しかし私は気付かない振りをした。



『顔洗って朝食にしよ?今日は竜崎が好きなプリンだよ。
僕が作ったんだよ。』



月くんが、微笑んだ。



『本当ですか!わざわざ早起きしてくれたんですね。ありがとうございます。』


私も、細い月くんの体を抱き締めた。



さっさと顔を洗い、テーブルに置かれたプリンを食べてみる。



甘いシロップがプリンと交ざり合い、とても美味しかった。



『すごく美味しいです。月くんは、料理がどんどん上手くなりますね。
きっと才能があるんでしょうね。』



私が褒めると、月くんは『えへへ』と小さく笑った。


とても可愛いらしい笑顔だ。



『また作ってあげるからね。』



と、頬にキスをされ、私もニッコリ笑った。



おしまい

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