L×キラ(短編集)

□好きと嫌い
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講義が終わった後、誰も居なくなった教室は、僕と流河の二人だけ。



僕を監視するように、付きまとう男に、



『ねぇ、流河…流河って僕の事好きなの??』



と聞いて見た。



すると、流河は顔色一つ変えず、



『いぇ、好きじゃないですよ…』



と、無表情で返事が返ってきた。



『・・・』



『黙り込んでどうしたんですか?』



『…別に。ふぅ〜ん。僕も竜崎なんて大嫌いだと思ってね。』



『そうですか…』



しーんと静まりかえる教室。



なんだよ、いつも僕の事、好きって言うくせに・・・


なんだか胸が詰まって、涙が出そうになる。



『じゃあ、僕は帰るよ。』


慌てて、カバンを肩にかけて教室を後にした。



『ビシャリ。』



キツく閉めたドアは大きな音を立てる。



流河を教室に残したまま、廊下をスタスタ歩く。



今の僕の顔、泣きそうなんだろうな・・・



そんな事を考えながら、ふと後ろを振り向く。



『・・・』



誰も居ない廊下が続いて、窓から夕日が差し込んでいる。



流河、追いかけて来てくれないんだ。



そう思うと、我慢していた涙がポロポロと零れてきた。



流河のバカ・・・



いつもは、ずっと僕の側から離れないくせに・・・



僕はクルリと歩いてる向きを変えて、流河を残して立ち去った教室へ向かった。


『ねぇ、流河!』



勢いよく開けた扉の先には誰も居ない。



『流河、帰っちゃったんだ。』



僕はヘナヘナとその場にしゃがみ込んだ。



『うっ、うっ。りゅうのバカ…』



誰も居ない教室で僕は、一人で泣いた。



『うっ、んっく、僕の事好きって言ってたのに、嫌いだなんてヒドイよぉ。
りゅうの事、好きなのに嫌いって言っちゃったし…』


僕の瞳はきっと、ウサギのように真っ赤だ。



全部流河のせいだ。



崩壊した僕の涙腺は止まる事なく、涙が溢れてくる。


すると、教室の端でガタンと音がする。



ゆっくり顔をあげると、そこには優しい顔をした流河が居た。



つづく



泣き虫キラ様(笑)
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