L×キラ(短編集)

□電車
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流河が一度電車に乗りたいって言うから、一緒に着いて行く事になった。



僕は犯罪者を裁くのに忙しいのに・・・



まぁ、仕方ないか。



流河がどんな奴か探れるチャンスだし、電車に乗る事くらい別に構わない。



『月くん、私通勤ラッシュと言うものを味わいたいです。』



『えっ?!別に空いてる昼間で良いじゃないか…』



『せっかく乗るんですから、沢山の人が居る車両に乗りたいです。』



『・・・』



やだなぁ。



僕って満員電車って苦手。


知らない人が近くに、沢山居るから、気持ち悪いんだもん。



僕が電車に乗る時はいつも混んでる時をずらして乗るのに・・・



『わかったよ。』



『では早速明日にしましょう。朝、月くんの家まで迎えに行きます。』



『・・・』



いつも高級車で送り迎えしてもらってるくせに、なんで電車なんか乗りたいんだよ・・・


僕は大きな溜め息をついた。



。。。。。。



次の日、待ち合わせ時間に迎えに来た流河と近くの駅に向かう。



僕は憂鬱な気持ちを抑えられないでいた。



満員電車なんて乗るの久しぶり・・・



なるべく人が少ない事を祈るのみだ。



僕の期待を余所に、ごった返す駅のホーム。



流河の顔を見るとウキウキと嬉しそうだ。



『沢山の人が居てますね〜。あっ、今のサラリーマンの人、髭の剃り残しがありました。』



『そぅ・・・』



そんな事、どうでも良いじゃん。



僕達が乗り込む電車がやって来た。



僕と流河は人に押されながら、開いた扉から車両に乗り込む。



なんとか、扉側に立てた。


少しホッとする。



扉に背中を預けながら、流河を見ると、爪をかじりながら、こっちを見ていた。


『流河、感想は?』



『うーん。そうですね…沢山の人に囲まれて少し不快です。車の方が良いです。』



『そう・・・』



良かった。



また乗りたいとか言われたら堪らない。



横のサラリーマンの息が首筋に当たる。



気持ち悪い・・・



『月くん、顔色悪いですよ。大丈夫ですか?』



つづく


初めて出逢って、暫く経ってからの話。
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