L×キラ(短編集)

□逢いたい
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僕に纏わりついていた流河が、最近パッタリと大学に来なくて、静かな生活を過ごしている。



『流河、どうしてるかな…』



僕は少し寂しいような複雑な気持ちだ。



教えて貰ったケータイ番号は、今まで一度も掛けた事が無い。



『僕の番号、知ってるんだから掛けて来てくれたら良いのに…』



どうしても自分からは掛けたく無くて、僕は大きなため息をついた。



つまらない。



つまらない。。



つまらない。。。



頭の中は、その言葉がグルグルと行き場を無くして回っている。



帰り道にあるケーキ屋に目が止まった。



流河が美味しそうにケーキを食べていた事を思い出す。



僕は引き寄せられるようにケーキ屋に入ると、小さなショートケーキを2つ買った。



僕はポケットからケータイを取り出すと、意を決して流河に電話を掛けた。



『留守番サービスセンターへお繋ぎします。こちらは…』



僕はプチっと電話を切った。



電波の届かない所か、もしくは電源を切ってるんだ。



どっと気分が疲れた。



流河に逢いたいな…



僕は仕方なくトボトボと家路を歩き出した。



。。。。。。



家の前に黒の高級車が止まっている。



あれは・・・



『月くん、お久しぶりです。元気ですか?もし良かったらご飯でもどうですか?』



ズルズルとスニーカーを引きずりながら、いつものTシャツとジーンズで車から流河が降りてきた。



久しぶりに見る流河は、少し髪の毛が伸びたように思えた。



『流河・・・久しぶりだね。僕もちょうど暇してたんだ。』



僕は笑顔で流河に歩み寄った。



あんなに逢いたかった流河が目の前に居る。



電話が圏外だった分、逢えた事が余計に嬉しかった。



流河の車に乗り込む。



真横に居る流河は爪を噛みながら、ぼぉーっと外を見ている。



そう言えばケーキ買ったんだ。



『これケーキ屋で買ったんだ。流河、甘いもの好きだろ??』



僕はケーキが入った箱を流河に渡した。



つづく


流河大好きキラ様(笑)
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