L×キラ(短編集)

□毒蜘蛛
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僕の心の中にズカズカと土足で入ってくる竜崎。



動揺と焦りと不安とそして…



今までこんな事、想った事も無かったのに、もしかしてこの気持ちは竜崎に対する恋心???



それは絶対許される事はないのに…



竜崎の心の中を覗きたくて、わざと抱かれたあの満月の夜。



その時に心の中をさらけ出したのは僕だった。



甘い囁きに疼く体と心。



握れると思っていた主導権はあっさり竜崎の物になり、執拗い攻めに快楽の海に溺れそうになる。



助けを求めるように縋りつく僕の細い腕を、竜崎は力強い腕で抱き締める。



なのに僕はまた、快楽の底に落とされてしまう。



『愛してますよ…』



竜崎の低い声が鼓膜に響き、酔いしれる。



嘘だと分かってるくせに、言う事を聞かない体と脳。



信じてしまいそうになる自分に涙する。



長い竜崎の指が僕の性器に触れて、絶頂へと導く。



何度も吐精し、もう吐き出す物は残っていない。



しかし体の中に埋まる竜崎のペニスが僕を攻め立てて、液を吐き出させる。



結合部分からは厭らしい音がクチュグチュと音をたてて粟立つ。



『りゅ…あっ、んっ、んっ。』



酸素不足なのか、荒い呼吸を繰り返しクラクラする。



濃厚な竜崎のキスに息も出来なくて、逃れたいのに逃れたくない。



優しく髪を梳く竜崎の指が気持ち良くて、思わず瞳を閉じる。



本当に僕の事愛してるの??



僕に何度も何度も囁く言葉を、信じて良いの??



『僕も、愛し…てるっ。』



途切れ途切れに伝えた言葉は、竜崎に聞こえたのかな…



ゆっくりと目蓋を開けて、目の前の竜崎に視線をやる。



竜崎は僕を見透かしたように嘲笑うと首筋に歯をたてた。



八重歯が皮膚に食い込み激痛を伴う。



『やっ…!んっ、ぁぁぁ!!』



殺される・・・



蜘蛛の糸に絡め捕らわれたように、僕を雁字搦めにする竜崎。



僕はもう駄目かも知れない。



おしまい

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