L×キラ(短編集)

□恋の勝敗
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『月くん、こちらへ。』



『どうして僕が?お前が来いよ。』



『何を言ってるんです??』



『竜崎こそ何を言ってるんだよ。』



『私、今座ってるんです。月くん立ってるじゃないですか。』



竜崎はゆったりとした手つきで、ティーカップの飲み物をスプーンでかき混ぜた。



『意味が分からないよ。立ってるからって、どうして竜崎の側に行かなくちゃいけないんだよ。』



月は軽く睨むと、竜崎から一番離れたソファーへと腰を掛ける。



『・・・』



『・・・』



暫く沈黙が続いたが、この膠着状態を打破したのは月だった。



『帰る。』



月の言葉に竜崎の瞳が揺れる。



フワリと立ち上がり、竜崎の視線を無視して扉へと向かう。



『まだ来たばかりじゃ無いですか。』



大量の砂糖が溶けた珈琲を飲みながら、おっとりとした口調で話かける。



『・・・』



月は視線だけじゃなく声まで無視すると、そのまま扉の前まで歩いた。



何の挨拶もなく出て行こうとする月を、竜崎は横目で見ると、気付かれないように溜め息をついた。



ガタンと音がしたかと思うと、竜崎は月を抱き締めていた。



『帰らないで下さい。』



竜崎は後ろから抱き締めると、うなじに顔をうずめる。



『始めからそうすれば良いのに。』



月は振り返ると竜崎にキスをした。



触れるだけの軽いキス。



『抱いて良いですか?』



『好きにすれば?』



月の言葉を聞いて直ぐ、竜崎は床へと押し倒した。



床と言っても柔らかい絨毯の上で、後頭部は竜崎の手で守られている。



『乱暴な竜崎は嫌い。』



全く痛みのない筈の月から、非難の声が上がる。



『すいません。』



竜崎は謝罪すると、飛びきりの優しいキスをした。



この後、二人の濃厚なSEXが始まる。



おしまい


この勝負10:0で月の勝ち。
惚れた人の負け。

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