L×キラ(短編集)

□翼
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『僕もリュークみたいな翼、欲しいな。』


《月、急にどうしたんだ?》


不思議そうに首を傾げるリュークに僕は笑った。


『ただ言っただけだよ。気にしないで…』


明日は僕の誕生日。


一番一緒に居たい人はお仕事中で手が離せないみたい。


明日も丸々部屋に籠もって仕事らしい。


かと言って、他の友達と遊ぶ気にもなれない。


竜崎も残念そうにしてたけど、僕だって本当は逢いたかったな…


《明日は月の誕生日だろ?》


『そうだけど…』


《翼つけてやろうか?明日1日だけだが…》


『えっ?!本当?』


《あぁ、昼間だと目立つだろうから夜なら…月の誕生日になった午前零時につけてやるよ。》


『ありがとう!嬉しい!凄く楽しみだよ。』


僕が嬉しそうに笑うとリュークが照れ笑いをした。


。。。。。。


深夜零時になりリュークが何やら粉の様な物を持ってる。


『それで翼が生えるの??』


《そうだ…実はこっそり貰ってきた。なぁ、何色の翼が良い?》


『色まで選べるんだ…』


何色が良いかな…


黒かな…白かな…金色とか面白いけどな。


でも、やっぱり…


『白がいい。』


《分かった。》


リュークがキラキラした粉をかけると僕に翼が生えた。


真っ白な雪のように白い翼。


『素敵だね!ありがとう!』


バサバサと翼を動かしてみたが、案外簡単に飛べそうだ。


《飛んでみるか?》


『うん!』


《低空飛行は人の目もあるだろうし向いて無い。一気に上空に上がるぞ。寒いだろうから暖かくしてな。》


何だろう…

今日のリューク本当に優しい…


『ありがとう!』


僕はベランダに出るとリュークと一緒に飛び立った。


風が冷たいけど気持ち良い…


一気に上空まで上がると、夜景が下一面に広がる。


キラキラとした小さなイルミネーションを見てると、みんなそれぞれ生活してるんだなぁと趣深い。


『何だろう…何故だか泣きそう。』


僕は小さく鼻を啜った。


《行きたい所あるんだろ?》


『えっ?リューク?』


《アイツの所…》


『リューク…』


《良いぜ、連れて行ってやる。》


『うわっ、ちょっとリューク…!』


僕はリュークに手を引っ張られると、真夜中の空を羽ばたいた。


つづく
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