L×月(短編集1)


□やきもち
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なんか、竜崎が楽しそうに松田さんとしゃべってる。

内容は駅前に出来たケーキ屋さんの話。。



僕は甘い物が苦手。



だから、ケーキの生クリームの話とか、スポンジケーキの話をされてもわからない。



松田さんが、その駅前のケーキを買ってきてくれたみたい。



二人でケーキを食べながら、楽しそうにしゃべってる。



なんとなく、面白くない。。。



なんか、二人を見てたら泣きそうになってきちゃった。



松田さんのバカァ〜〜〜。
あんなに竜崎の近くに座って。。



松田さんに、竜崎を取られちゃうっ。



僕も負けてられない。



僕は、松田さんと竜崎が座るソファーの、ど真ん中に突然座った。



『月くん。どうかしましたか??』

竜崎が驚いて尋ねる。



『松田さん。もう少し離れてもらっていいですか?僕もソファーに座りたいので。』



『あっ。うん。どうぞ、月くん座ってね。』



松田さんは、快く僕の座るスペースを作ってくれた。


僕は、松田さんの方は見ず竜崎の方を見た。



『竜崎。僕にも一口ちょうだい。』



『月くん、甘いの苦手なんじゃないの??』

松田さんが不思議そうに聞いてくる。



『一口だけほしいんだ。』


『僕、まだ食べてないから、僕の食べていいよ。』

松田さんが、お皿に乗ってるケーキを渡してくれた。


『僕は、竜崎が今食べてるやつが食べたい!』



『竜崎が食べてるケーキも、僕のお皿に乗ってるのも同じケーキだよ。』

松田さんが笑って、そう言った。



言われなくても、同じケーキだって事は分かってる。



『でも、、、僕は竜崎のを食べたいんだもん。。』



なんか、しょんぼりしてきちゃった。



『月くん。一口どうぞ。』
竜崎はフォークに小さくケーキを乗せると、月の口の前に差し出した。



『うん!』



パクっ。モグモグ。



『どうですか??』

竜崎が首を傾げて聞いてくる。



『めちゃくちゃ、おいしい!』



僕は、竜崎に食べさせてもらって大満足!



松田さんは、そうこうしてる間に僕の父さんに呼ばれて部屋を出ていった。



僕は、ホッと胸を撫で下ろす。



竜崎の隣は僕って決まってるの!
誰にも、座らせてやんない。。。



おしまい


竜崎は本当に幸せ者です。
 

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