L×月(短編集1)


□屋上
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ずっと、捜査本部に居てたら息が詰まっちゃう。。。


僕は、ベランダに出ると、大きく深呼吸した。。



空を見上げると、透き通るような青い空。。



チュンチュンと小鳥のさえずり。



僕は空に向かって、手を伸ばす。



全く、届かない大きな空。。。



時々、空に大きく羽ばたきたいなって思う。。



翼はないのに、無性に。。。



竜崎をチラッと見ると、真剣にパソコンとにらめっこ。。



僕は、ふぅ〜と一つため息をすると、また部屋の中に入った。



『どうかしましたか?』


竜崎が、パソコンから目を離さず、聞いてきた。。



『ううん。なんでもないよ。』


僕はニコッと微笑んだ。



『月くんは、嘘つきですね。』

竜崎は、パソコンから目を離すと、僕にそう言った。


『なっ、なんで??』

僕は竜崎を見た。



『外に出たいんでしょ?』


『・・・』



『屋上に行きませんか??ベランダより、広いですし、空にもっと近いですよ。。』



『いいの??』



『屋上ならいいですよ。少しは気分転換になるでしょう?
外に出かけるのは、少し考えさせて下さい。』




『ホント??』



ホントは、外に出たかったけど、屋上に出れるだけでもうれしい。。



『外は肌寒いから、膝掛け持っていきますね。では、行きましょうか。』



竜崎は、僕の手を握り、屋上へ連れて行ってくれた。


『風がキツいから気をつけてくださいね。』



そう言うと、扉を開けた。


『うわっ。凄い風。でも、めちゃくちゃ気持ちいい!』

僕は、風でなびく髪の毛を押さえながら、そう言った。



竜崎と一緒に、フェンスの所まで行く。



空を見上げる。



ベランダよりも、空が近く感じた。



両手を伸ばして、大きく深呼吸すると、とても気持ちがいい。



『竜崎ありがとう。空があんなに近いよ。』



僕は、空に両手をかざして、抱き締めるような動作をした。



『そうですか。それは良かったです。』

竜崎はニコッと微笑んだ。


今度は、下を見る。


捜査本部は、超高層ビルなので、車や、人がとても小さく見えた。



みんな、それぞれ生きてるんだなって実感させられる。



つづく



たまには、外に出ないとね。。
初シリアス。次はちょい甘。
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