L×月(短編集1)


□雷
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僕は、格好悪いけど、雷がすごく苦手。


大学生にもなって、雷がキライだなんて、恥ずかしいけど、こればかりは、仕方ない。


捜査本部は、今日も雨。


窓に叩きつけられる、雨音は激しく、遠くに響く、雷の音に身震いしそうになる。


『月くん?どうかしましたか?』


挙動不審な動きをする僕に首を傾げて、竜崎が聞いてきた。


『いや。なっ、なんでもないよっ。』


僕は、ニッコリ微笑んだ。


『・・・』



竜崎は、じーっとこちらを見てたが、何もないと言う僕に、それ以上は聞いてこなかった。



徐々に近くなる、雷の音。
闇夜に輝く雷の閃光。


立って、ウロウロしてたが、足がすくみそうになって、竜崎の座るソファーに腰をかけた。



突然ゴロゴロと鳴ったと思うと、ピカッと光って、捜査本部の近所に、ドーンと雷が落ちた。



慌てて、耳を押さえる。
ガタガタ震えそうになる体を、ギュッと歯をくいしばって耐える。


竜崎は、月の行動をじーっと見ると、


『月くん、私眠たくなってしまいました。一緒に寝室まで来てもらっていいですか?』


『うんっ。いいよ。』


良かった。寝るフリをして竜崎に抱きつこう。
恐いの、マシになるだろうし。



僕は、震える足に力を入れて立ち上がった。



竜崎の後をついて、寝室に入る。


その途端、天から割れるような、バリバリと、けたたましい音が鳴り響いた。


部屋の電気が、チカチカとしたかと思うと、ブツッと電気が消えた。


『やだっ。うっ。んっ。』


僕は、そのまま地面にしゃがみ込んで泣いてしまった。



『月くん、大丈夫ですか?雷、苦手なんですね。』


竜崎も一緒に、月の近くにしゃがみこんで、優しく抱き締めた。


『ごめっ、格好悪いねっ。』


苦笑いしながらも、震えが止まらない月を、ゆっくり立ち上がらせ、ベットに連れて行く。


部屋は、暗闇に包まれ目を開ける事が出来ない月は、竜崎に抱きついた。


歩いてる最中に、またバリバリとけたたましい音が響いて、月は腰が抜けて、ガクッと崩れる。


竜崎は、慌てて腰にしっかりと腕を回した。



『りゅう、んっ。こわいっ。』



つづく


月は雷が苦手な事を、気付いてみんなの前から連れ出して上げる竜崎。
イキな計らいです。
泣き虫月、降臨しました(笑)
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