L×月(短編集1)


□おるすばん
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『月くん、急に申し訳ないんですが、私とワタリ、捜査本部を留守にします。
次の日には帰ってくるんですが。。』


竜崎の、突然の言葉にビックリする。



『えっ?どこ行くの?』


僕は、慌てて竜崎に駆け寄った。



『場所は、言えません。すいません。』



『僕も、一緒に行きたい!連れてって、くれないの?』


月は悲しそうな、顔をして竜崎を見つめる。


『はい。ちょっと、無理なんです。申し訳ありません。』



竜崎は、優しく月の体を抱き締めた。


月は、何か考えてるみたいだったが、


『そっか。じゃあ、仕方ないね!僕、お留守番するし、行ってきていいよ。』


悲しそうな顔になりそうだったけど、グッと我慢して、笑顔を竜崎に向けた。


『本当に、すいません。心配ですが、月くんなら、大丈夫そうですね。』


竜崎は、月の頭をポンポンと優しく触った。



『後、月くんには鎖に繋がってもらいます。部屋には、鍵をかけて出れないようになります。
不自由が無いよう、トイレと、台所には、行けるよう鎖は長くしときますが、外す事は出来ません。
冷蔵庫には、いろんな食材が入っています。
好きなように、食べて頂いて結構です。
それと、私が監視出来ない分、監視カメラの台数が、かなり増えてます。
大丈夫ですか?』



『・・・』



一度に、たくさんの事を言われて、混乱はしたけど、内容はわかった。


僕は、コクッとしっかり頷いた。


『向こうから、電話しますね。こちらの電話番号は言えませんが、なるべくたくさん電話するようにします。』



竜崎が、ニッコリと笑った。


『わかった。電話、いっぱい掛けてきてね。
鎖に、繋いでいいよ。』


月は、自分の片手の細い腕を竜崎の前に出した。



竜崎は、そっと月の腕を取り、ガチャと手錠をかけた。



白く細い腕に光る、鉄の物体。



月くんの腕は、こんなに細かっただろうか。



ぼーっと、月の腕を見つめてた。



『竜崎、どうかした?』


手錠を、はめたまま固まってしまった竜崎に優しく声をかける。



『いぇ、何もないです。すいません。』



そう言うと、月の体をきつく抱き締めた。



つづく


1日、留守番するだけなのに、心配性の竜崎(笑)
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