L×月(短編集2)

□やきもち
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寝室に入るなり、竜崎はカチッとタバコに火をつけた。


なんか、怒ってる。


『僕、ネンザなんかしてないよ?』



『そんな事はわかってます!!』



竜崎が大きな声を出したので、僕の体がビクッと震えた。



『月くん、わざと松田に押し倒されようとしましたね?
松田に抱きつかれたかったんですか?!』


『違っ…』


えっ?!僕は松田さんなんかに、抱きつかれたくない。


あれは、松田さんが竜崎に抱きつかれるのが嫌だから、仕方なく僕になる様に仕向けたのに。



『何が違うんですか?』


竜崎の冷たい目。。。


全部松田さんのせいだ・・・



『抱きつかれるのは、竜崎じゃないと嫌だよ。でも、あのままじゃ、
竜崎が松田さんに抱きつかれちゃうもん。
そんなの、絶対イヤだもん。うっ、うっ。』



僕は、子供のように泣きじゃくった。



竜崎は、なんだか神妙な顔をすると、大きく溜め息をついた。



『松田さんは竜崎の事が好きなんだよ!わざと、コケたフリをして、竜崎に抱きつこうとしてたもん。
何もない所でコケたりする訳ないもん。』



僕は誤解を解くために、一生懸命、説明した。



『・・・』



相変わらず、竜崎は無言のまま。
でも、僕は構わず話を続けた。



『でも僕、抱きつかれたりするの竜崎じゃないと嫌だから、ホントは嫌だった。』



僕は、その場にへにゃんと座り込み、涙を拭くのに何度も目元を擦った。



『赤く腫れてしまうので、やめてください。』


竜崎は、僕の頬を両手で包みこむと、優しくキスをした。



『りゅ…ンッ…』



軽く舌を絡ませ、口唇を離すと、


『そうだったんですね。私、てっきり松田の事が好きなんだと勘違いしました。
月くんが松田に押し倒されたのは、事故だったとしても許せなかったんです。
私の運動神経を忘れたんですか?私も松田に抱きつかれるのは、正直嫌なので、スッと避けるつもりでしたよ。
抱きつかれるのは、月くんじゃないと嫌ですから。』

竜崎がニッコリ笑った。



『竜崎、ごめんね…』



僕は、竜崎に抱きついて、胸の中で泣いた。


その間竜崎は、ずっと頭撫でてくれた。



その後、松田さんに対する竜崎の言動と行動は厳しくなったが、僕達の愛は深まった。



おしまい



何だかんだでラブラブ(笑)
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