L×月(短編集2)

□誘拐
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アイバーさんが持って来てくれたコーヒーを飲む。



挽きたての豆の香りがして、とても美味しい。



お昼の12時までって事は、今が朝の6時だから、後6時間かぁ・・・



アイバーさんをチラッと見る。



不精髭がなんだか渋くて、ソファーに足を組みながら、コーヒーを飲む姿は格好良い。



『どうかしたかい?』



じーと見つめる僕に、不思議に思ったのかアイバーさんが声をかけてきた。



『いぇ、何でもないです。』



なんだか調子狂っちゃうなぁ・・・



アイバーさんと二人きりになるのは初めてだし・・・



それにしても、瞳が綺麗だなぁ。



まぁ竜崎の瞳の方が好きだけど・・・



『僕を縛ったりしなくて良いんですか?』



普通に友達の家に遊びに来てるような感覚に戸惑う。


『月が可哀想だから、縛ったりしないよ。部屋から出なければ、好きにして良いよ。』



とウインクされた。



『・・・』



アイバーさんにしたら、ただのゲームなんだろうな。

まぁ、縛られたりするよりも、のんびり出来る方が良い。



僕はアイバーさんが作ってくれた、朝食を食べる。



意外に美味しい。



僕は、残さず全部食べた。


『ご馳走様でした。とても美味しかったです。』



両手を合わせて、お礼を言う。



アイバーさんはニッコリ笑うと『それは良かった。』と言って、
片付けの為にキッチンに消えて行った。



アイバーさんって、彼女とかにも優しそうだなぁ。。。



暫くすると、アイバーさんが戻ってきた。



『そぅそぅ、月が寝てる間にキスさせてもらったよ。』


『えー!!本当ですか?!』



キスしたんだ。



浮気しちゃった。どうしよう。竜崎に嫌われちゃう・・・



僕はジワッと涙を浮かべた。



アイバーさんは僕の涙に慌てると、



『おでこに少し触れただけだよ。挨拶みたいなものだよ。』



と、まくし立てられるように言われた。



『口唇じゃなくても、キスしたら浮気だもん…』



アイバーさんの顔を見ると、溜めてた涙が瞳から零れた。



『おやおや、困ったね。ごめんね。』



アイバーさんは、長くて綺麗な指で涙を拭いてくれた。


つづく


浮気してしまったと泣いてしまう月(笑)
可愛いすぎ(笑)
次は竜崎視点。
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