L×月(短編集2)

□誘拐
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月くんが誘拐されてしまいました。



犯人はアイバー。



油断してました。



ただのゲーム感覚とは思いますが、許せません。



場所は調べて分かってますので、向かってる所です。



イライラする気持ちを抑え、月くんが拉致されたマンションにたどり着いた。



至って普通のマンションで、一般の人も住んでいる。



早朝と言う事もあり、静かにチャイムを鳴らした。



『カチャリ』と音がして、アイバーが顔を出す。



『L早かったね。さぁ、どうぞ。』



私は部屋の中に入る。



月くんはベッドで眠っていた。



月くんの側に座ると優しく頬を撫でた。



紅く擦れた頬、目尻に残る涙。



月くんが泣いた後がハッキリと残っていた。



『泣かせましたね。』



私がキツく睨むと、アイバーが苦笑いをして説明してくれた。



その説明を聞いて、笑みが零れる。



アイバーがキスしたのは少しムカつきますが、挨拶と言えば普通かも知れません。



泣きつかれて寝てしまった月くんを抱き上げる。



『アイバー、正午までと言う事だったみたいなので、私の勝利ですが、
誘拐されてしまった自体、私の負けです。』



私はその一言だけを残し、部屋を後にした。



月くんを抱き上げたまま、車に乗り込む。



目尻を舐めると少し、しょっぱかった。



車を走らせ、捜査本部まで戻ってくる。



未だ起きない月くんをベッドに寝かせた。



私はソファーに座り、カチッとタバコに火をつける。


フィルターから煙を吸い込み、肺に取り込む。



アゴを動かすと綺麗な円を描く煙が、次第に消えて行く。



私は、ぼぉ〜っと消えて行く煙を見つめた。



月くんは可愛いらしいですね・・・



日本では、挨拶でキスをする習慣がないので、心配したんでしょうね。



タバコを吸い終えると、月くんが寝てるベッドに腰かける。



前髪を掻き分け、アイバーがキスをしたこめかみに、再度キスをした。



『ンッ…』



月くんが、起きたようだ。

月くんは、ハッとしたように驚くと、



『アイバーさん、止めてくださいっ!僕、竜崎の事が好き…なんです。』



と、また泣き出した。



つづく


寝ぼけて、アイバーと間違う月(笑)
月がやっぱり可愛い(笑)
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