L×月(短編集2)

□小さな手
2ページ/3ページ

『少しの間、席を外します。直ぐ戻って来ますからね!』



私は月くんの柔らかい頬に流れる涙を、指で優しく拭った。



『僕も一緒に行きたい…竜崎が居ないと寂しいもん…』


益々、ブワッと涙を溜めて嫌々と首を振る月くんに、いとしさが込み上げる。



『仕方ないですね。一緒に行きましょうか。』



私が両手を広げると月くんがフワッと胸に飛び込んできた。



頭をポンポンと撫でて、腕に抱きかかえ、ゆっくり立ち上がる。



首にしがみつく月くんの手は小さくて暖かい。



私は苦しがらない程度にギュッと抱き締めた。



『さっきは意地悪しましたね。すいませんでした。』


チュッチュッと啄むキスを顔中に降らせると、月くんがニッコリ笑った。



資料を取りに行くだけだったが、すぐに部屋に戻るのは忍びない。



ワタリに休憩すると電話を入れ、私は寝室へと向かった。



『お仕事しなくてもいいの?』



きょとんと首を傾げながら尋ねる月くんに、



『はぃ。少しゆっくりしましょう。月くんと、もっとキスをしたいです。』



私が耳元で囁くと、月くんが顔を真っ赤にした。



寝室に入りベッドの端に腰をかけ、膝の上に月くんを乗せ、正面に向き合う。



目の前に私の顔があるのが恥ずかしいのか、
俯いてしまってる月くんの顎をそっと持って、口唇を奪った。



怖がらせたくない。

もちろん大切にしたい。



私はそっと口唇に自分の口唇を重ねた。



『んっ…りゅ…。』



月くんの小さな舌を、私の舌で包む。



ビクンと震える体を抱き締めた。



柔らかい月くんの口内を擽るように動かすと、鼻から抜けるような甘い声を出した。



ゆっくり口唇を離すと、力が抜けたのか、くにゃんと月くんの体が崩れたので、慌てて支える。



『大丈夫ですか?』



私は心配になり尋ねると、トロンとした瞳で小さく頷いた。



可愛い可愛い月くん。



私は時間も忘れ何時までも抱き締めていた。



いつの間に私の胸に凭れながら眠ってしまった月くんをベッドへ横たえた。



私も仮眠がしたくなり、月くんを腕枕して眠りについた。



つづく


竜崎が優しい(笑)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ