L×月(短編集2)

□小さな手
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いつの間にかぐっすり眠ってしまったようだ。



ゆっくり目蓋を開け、愛しい月くんの頭を撫でた。



月くんは相変わらず小さいままだった。



柔らかい髪の毛に軽くキスを落とし、ベッドを抜け出した。



タバコが吸いたくなり、ソファーに腰を降ろしたが思いとどまる。



月くんは子供になっているのだ。



私はそっとベランダへと出た。



どんよりとした空は今にも泣き出しそうだ。



空に向かって煙を吐くとフワフワと揺らめいた。



小さな月くんは、何時にも増して寂しがり屋だ。



私は2〜3度、肺を煙で満たすと、飴玉を一つに口に含みベランダを後にした。



ベッドに目をやると、先程と変わり無く柔らかい吐息をする月くんにホッとする。



私は月くんの小さな手に軽くキスをして、優しく起こす。



『月くん、そろそろ起きませんか??夜、眠れなくなりますよ。』



『んっ…りゅう…。』



月くんは目を軽く擦りながら目を覚ますと、小さなアクビをした。



パチパチと瞬きすると、私に抱きついて、



『夢の中にも、竜崎が出てきたんだよ。』



と笑った。



私は無性に嬉しくなり、月くんの小さな体を抱き締めた。



二人で並んで歩いていると30センチ以上離れた背丈。



上から見下ろされているような気分が嫌だと、駄々っ子になった月くんを腕に抱き上げる。



抱き上げた事により、僅かに目線が月くんの方が上になり、ご満悦のようだ。



頬に当たるサラサラとした髪からは優しいシャンプーの香りが鼻先を掠める。



部屋に戻り仕事を再開するが、私の膝の上から離れない月くんに苦笑いする。



この格好では推理力が半減する。



だからと言って、降りろとも言えない。



私は大した仕事も出来ないまま夜を迎えた。



何時もの様に朝を迎えると、元に戻った月くんが居た。



まさか夢???



『おはようございます。』


私はいつもの挨拶をして、月くんにキスをした。



おしまい


夢オチにしてすいません。
ショタ月初書きです。
とても楽しかったです!
また書きます(笑)
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