L×月(短編集2)

□猫月たん
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光の中から現れた月くんは、私が想像していた通りの姿だった。



頭に耳とお尻に尻尾、口元から見える八重歯、そして変身した時に服が破けたのか月くんは全裸だった。



『月くん…大丈夫ですか??』



私が恐る恐る尋ねる。



『??みゃあ…みゃ?』



『月くん!!!』



首を傾げながら、私を見つめてくるアーモンド色の月くんの瞳。



私は瞬時に月くんを抱きしめた。



『可愛いです。月くん、月くん。』



『ふぇ…みゃあ、みゃぁ…』



月くんは急に抱き締められた事にビックリしたのか、泣いてしまった。



『怖がらせてしまいましたね。すいません、大丈夫ですよ。』



体をブルブル震わせ、怯えたように見つめてくる月くんに、どうしたら良いかと考える。



『とりあえず何か服を着ましょうか。じゃないと、私の理性が保ちません。』



私は、月くんに着せる替えの服を取りに行った。



暫く経って戻ってくると月くんが居ない。



『月く〜ん。どこですかぁ??』



私はウロウロと部屋を探すと、部屋の隅に小さくなって、相変わらず怯えて泣いている月くんをみつけた。



『みゃぅ…みゃぅ…』



『・・・』



ちょっと猫化が激しすぎるような気がします。



全く言葉を発する様子も無く、私の事を完全に誰だか分かってない。



綺麗な瞳には透明の涙をいっぱい溜め、重力に負けてしまった涙はポトリポトリと床を濡らした。



『なんだか可哀想な事をしましたね。』



私は着せようと思っていた服を、そこら辺に捨てた。



無理やりに着せても仕方ない。



私はそっと歩み寄ると毛布で月くんを優しく包んだ。



『怖がらないで下さい、何もしませんから。その様な格好では風邪を引いてしまいます…』



私は毛布にくるまった月くんを抱き上げ、窓際のソファーに座った。



柔らかい日差しが窓から照らし、月くんが眩しそうに目を細める。



『ワタリの作った薬は失敗ですね…月くんのせっかくの誕生日、台無しにしてしまいました。』



私の胸の中で未だに震える月くんの頭を優しく撫でた。



つづく


なんだか切ない(汗)
でも最後はラブラブにします♪
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