L×月(長編)

□手錠
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電気がついた事に少し安堵したものの、竜崎が覗き込んでいて、それが余りも近く蔑んだ瞳のような気がして、益々僕の体は震えた。



『大丈夫ですか?』



竜崎の指が僕の頬に触れて、涙を拭いてくれた。


その時初めて僕は、自分が泣いてる事に気付いた。



竜崎は優しく接してくれようとしているのに、僕には恐怖でしかなかった。



『月くん、過呼吸になってます。息を一度止めてください。』



優しく竜崎に言われたが、僕は上手く出来なくて首を横に振ると、浅い呼吸を何度もした。



徐々に息が苦しくなり、酸素を取り込もうと何度も呼吸した。



『月くん!』



竜崎は僕をキツく抱き締めると、頭の後ろに手を回し、深く口づけた。



ぬめっと、竜崎の舌が入ってきて僕の舌に絡めてきた。



『ンッ。ハァ…。』



僕が息をしないように、何度も角度を変えて口づけされた。



初めは暴れていたがだんだん力が入らなくなり、竜崎の服を力なく握っているだけになった。



ゆっくり糸を引いて、竜崎の口唇が離れた。



竜崎の行動に物凄く驚いたが、呼吸は楽になっていた。



しかし竜崎のキスで体が熱くなり、下半身が疼いている事に気付いた。



監禁中、処理できなかったのだ。
当然と言えば、当然なのだが、相手が竜崎と言う事に不安になった。



僕の瞳から、涙が零れて頬を濡らした。



『まだ、苦しいですか?あなたは、本当にキラなんでしょうか?あなたの心は、繊細で儚いですね。今日はもう寝て下さい。』



竜崎は薬を自分の口に放り込み、ミネラルウォーターを飲むと僕に口づけた。


『ンッ…。』



水と一緒に薬が入ってきたが、僕はそれを飲んでしまった。



不安そうに竜崎の顔を見ると、


『ただの睡眠薬です。今日は、ゆっくり寝てください。』



竜崎はそう一言だけ告げると、優しく髪を触った。


頭の中では色々考えていたのに、だんだん何も考えられなくなった。



急にまぶたが重くなり、僕はそのまま眠りについた。


竜崎は月が眠った事に安堵すると、自分も横になった。



カチャっと鎖の不自然な音がしたが、竜崎も疲れていたのか、すぅーと寝てしまった。



つづく
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