L×月(長編)
□手錠
2ページ/10ページ
電気がついた事に少し安堵したものの、竜崎が覗き込んでいて、それが余りも近く蔑んだ瞳のような気がして、益々僕の体は震えた。
『大丈夫ですか?』
竜崎の指が僕の頬に触れて、涙を拭いてくれた。
その時初めて僕は、自分が泣いてる事に気付いた。
竜崎は優しく接してくれようとしているのに、僕には恐怖でしかなかった。
『月くん、過呼吸になってます。息を一度止めてください。』
優しく竜崎に言われたが、僕は上手く出来なくて首を横に振ると、浅い呼吸を何度もした。
徐々に息が苦しくなり、酸素を取り込もうと何度も呼吸した。
『月くん!』
竜崎は僕をキツく抱き締めると、頭の後ろに手を回し、深く口づけた。
ぬめっと、竜崎の舌が入ってきて僕の舌に絡めてきた。
『ンッ。ハァ…。』
僕が息をしないように、何度も角度を変えて口づけされた。
初めは暴れていたがだんだん力が入らなくなり、竜崎の服を力なく握っているだけになった。
ゆっくり糸を引いて、竜崎の口唇が離れた。
竜崎の行動に物凄く驚いたが、呼吸は楽になっていた。
しかし竜崎のキスで体が熱くなり、下半身が疼いている事に気付いた。
監禁中、処理できなかったのだ。
当然と言えば、当然なのだが、相手が竜崎と言う事に不安になった。
僕の瞳から、涙が零れて頬を濡らした。
『まだ、苦しいですか?あなたは、本当にキラなんでしょうか?あなたの心は、繊細で儚いですね。今日はもう寝て下さい。』
竜崎は薬を自分の口に放り込み、ミネラルウォーターを飲むと僕に口づけた。
『ンッ…。』
水と一緒に薬が入ってきたが、僕はそれを飲んでしまった。
不安そうに竜崎の顔を見ると、
『ただの睡眠薬です。今日は、ゆっくり寝てください。』
竜崎はそう一言だけ告げると、優しく髪を触った。
頭の中では色々考えていたのに、だんだん何も考えられなくなった。
急にまぶたが重くなり、僕はそのまま眠りについた。
竜崎は月が眠った事に安堵すると、自分も横になった。
カチャっと鎖の不自然な音がしたが、竜崎も疲れていたのか、すぅーと寝てしまった。
つづく