L×月(長編)

□手紙
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竜崎へ

いつもありがとう。

これからも、仲良くしてね。

僕は竜崎と一緒に居れて、とても幸せです。


     夜神 月





紙には、その言葉だけが書かれていた。



便箋の線には当てはまらない、大きく震えたような文字。



たった三行の言葉だったが、私の胸に響いた。



ふとゴミ箱を覗いてみると、何度も書き直したのだろう。


丸められた紙くずが溢れていた。



月の光で浮かび上がるような文字は、私をひどく落ち着かせ、心を満たした。



たった10秒で読み終えたが、書くのには何時間もかかっていた。



私は、大切に封筒に入れると、引き出しに入れた。


私も返事がしたい。


月灯りの下で、私もペンを握った。






月くんへ

お手紙ありがとうございます。

とっても嬉しかったです。

私も、月くんと一緒に居れて幸せです。

ずっと一緒に居ましょう。

    竜崎




最後の名前が引っ掛かる。


本名では無い名前で良いのだろうか。。。



月くんの手紙は『竜崎』になっていた。


まぁ、本名を知らないからだと思うが・・・



でもLと言う名前を出して、監禁してた時や、殺伐とした会話をしていた頃を思い出させたくない。



私は暫く考えると、今まで呼ばれている『竜崎』にした。



私も封筒に宛名を書くと、ベッドに戻り眠りについた。



。。。。。。



朝になり、いつも通り私が月くんを起こす。



『月くん朝ですよ。』



月くんが目覚めると同時に私も手紙を渡した。



眠そうにしていたのに、パッと目を開いてニッコリ笑った。



月くんが手紙に目を通すと、大きく深呼吸した。



『ありがとう、竜崎。』



満面笑顔の月くんは、まさに天使だ。



私は優しく抱き締めると、


『朝食にしましょう』



と耳元で囁いた。



手紙には、言葉では通じない何かがある。



手紙も捨てたもんじゃないと思った。



おしまい
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