L×月(長編)
□手紙
2ページ/2ページ
竜崎へ
いつもありがとう。
これからも、仲良くしてね。
僕は竜崎と一緒に居れて、とても幸せです。
夜神 月
紙には、その言葉だけが書かれていた。
便箋の線には当てはまらない、大きく震えたような文字。
たった三行の言葉だったが、私の胸に響いた。
ふとゴミ箱を覗いてみると、何度も書き直したのだろう。
丸められた紙くずが溢れていた。
月の光で浮かび上がるような文字は、私をひどく落ち着かせ、心を満たした。
たった10秒で読み終えたが、書くのには何時間もかかっていた。
私は、大切に封筒に入れると、引き出しに入れた。
私も返事がしたい。
月灯りの下で、私もペンを握った。
月くんへ
お手紙ありがとうございます。
とっても嬉しかったです。
私も、月くんと一緒に居れて幸せです。
ずっと一緒に居ましょう。
竜崎
最後の名前が引っ掛かる。
本名では無い名前で良いのだろうか。。。
月くんの手紙は『竜崎』になっていた。
まぁ、本名を知らないからだと思うが・・・
でもLと言う名前を出して、監禁してた時や、殺伐とした会話をしていた頃を思い出させたくない。
私は暫く考えると、今まで呼ばれている『竜崎』にした。
私も封筒に宛名を書くと、ベッドに戻り眠りについた。
。。。。。。
朝になり、いつも通り私が月くんを起こす。
『月くん朝ですよ。』
月くんが目覚めると同時に私も手紙を渡した。
眠そうにしていたのに、パッと目を開いてニッコリ笑った。
月くんが手紙に目を通すと、大きく深呼吸した。
『ありがとう、竜崎。』
満面笑顔の月くんは、まさに天使だ。
私は優しく抱き締めると、
『朝食にしましょう』
と耳元で囁いた。
手紙には、言葉では通じない何かがある。
手紙も捨てたもんじゃないと思った。
おしまい