L×月(長編)

□侵入者
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暗い場所を怖がる月くんが、窓から差し込む月の光だけで、真夜中の廊下を歩くなんて。



私が居ない事と、暗闇で震え上がっているだろう。



可哀想な事をした。



侵入者が何処に居るか分からない危険な状態だし、私は泣き声がする方に向かった。



すると、



『ガシャーン!!』



と、けたたましい音が鳴り響いた。



私は音がした方向より、月くんが居る方に全力疾走した。



ナイフをポケットに隠すと、震えてしゃがみ込んでる月くんを抱き締める。



『屋敷に何者か侵入したようなんです。
黙って一人にしてしまいすいません。でもあそこが、一番安全なんです。』



私の胸の中で泣き続ける月くんの背中を撫でると、



『言い訳ばかりしてしまいすいません。本当にすいませんでした。』



私は、腰が抜けてしまって動けない月くんを抱き上げた。


月くんは、私の首にギュッと掴まると、



『一人にしないで…』


と、泣いた。



寝室に戻り、館内全部の部屋の電気をつける。



二度目に音がした部屋は、金庫がある部屋だ。


侵入者はおそらく、逃げたと思われる。



あんな金、持って逃げられても、痛くも痒くもない。


一応、ワタリにその部屋を確認に行かせた。



案の定、金庫は盗まれており、窓ガラスが割られていた。



侵入者は、出て行ったようだ。



明日の朝にでも、窓ガラスを防犯ガラスにして、セキュリティを強化しなければ。。。



日本だと甘く見ていた。



月くんは、あまりの恐怖からか、まだ体の震えが止まらず、私に抱きついたままだ。



何度も優しく背中を撫でたが、落ち着く様子は無かった。



仕方なく、私は精神安定剤を口移しで飲ませた。



『ンッ…。ンクッ。』



月くんの喉が動くのを確認して口唇を離した。



ずいぶん薬に頼る事なく、過ごしていたのに。。。



なるべくなら、飲ませたく無かったが、今回は仕方なかった。



少しずつ呼吸が整う月くんに、ホッとする。



暫くすると、寝息が聞こえてきて、胸を撫で下ろした。



ゆっくり、横に寝かせると、私も横になった。



涙で濡れた頬にキスをすると、私も眠りついた。



つづく
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