L×キラ(短編集)

□逢いたい
2ページ/6ページ

『これどうしたんです??』



不思議そうにこっちを向く流河に少し戸惑う。



流河を思い出しながら買ったなんて恥ずかしくて言えない・・・



『えっと…、なんだか甘いものが急に食べたくなったんだ。』



『・・・珍しいですね。2つありますが、1つは妹さんの分ですか?』



『う、うん。』



思わず俯く。



本当は流河と一緒に食べたかったなんて・・・



言えない。



流河はそんな僕をジロジロと見ると、さほど気にしてない様子で、



『では一緒に食べましょうか?』



と、ニッコリ笑った。



『うん。』



僕は小さく頷いた。



車は高級なホテルの前に止まり、スイートルームに案内された。



流河と逢う時は、いつも違うホテルのスイートだ。



流河の家はどこなんだろう。



僕はそんな事をぼんやりと考えてると、いきなり後ろから抱き締められた。



『りゅ…うが…??どうしたの?』



ドキドキと心臓が鳴り響く音が聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい、鼓動が早くなる。



『最近は忙しくて大学にも行けませんでした。なかなか逢えなかったから寂しかったです。』



流河の声が切なく聞こえて、僕に被ってた殻が破けた気がした。



僕は流河の方を振り向き、ギュッと抱きついた。



『僕も寂しかった。流河に電話したけど圏外だったから、いつ逢えるんだろうと思ってたんだ。』



僕は包み隠さず自分の気持ちを伝えた。



『本当ですか??』



流河が少し首を傾げたので、僕は更に言葉を足した。



『さっき渡したケーキは流河の事を思い出しながら買ったんだよ。流河に逢いたくて、堪らなかった。』



『月くん・・・』



僕は流河の口唇を奪った。



軽く触れるだけのキスだったが、流河はとてもビックリした様子だった。



『本当だよ。逢いたかった…』



僕は急に自分のした行動が恥ずかしくて、そっぽを向いた。



耳が熱い。



『月くん、嬉しいです。』



流河は僕の頬を両手で包み込むとキスをした。



『りゅ…んっ…』



つづく


次は若干エロスです♪
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ