L×キラ(短編集)

□疲れた心
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『ずぶ濡れですね。少し寒そうです。』


『そうだね。少し寒いかも…』


『睫毛から落ちる雨が涙に見えます。』


『本当の涙かもよ。』


僕は冗談混じりに笑うと、綺麗に畳まれたハンカチで濡れた額を拭った。



『送りましょうか??そのままでは公共の交通に乗りにくいでしょ?』



確かに、こんな状態で乗り物には乗りにくいな…



『いいの?』



『ええ。』



僕の言葉に即答する流河に甘える事にした。


。。。。。。



『ンッ…あっ、やぁ……っ…。』



しつこい流河の誘いに断れず、ベッドで甘い吐息を吐く。



僕もひと肌が恋しくなってしまったのかも知れない。



普段より優しい手つきの流河に翻弄される。



結合部分から卑猥な音が鳴り響き、ペニスからの先走りは止め処なく溢れ内腿を伝う。



『月くん…今日は本当にどうしたんですか?』



サラサラと髪の毛を梳かれながら問われる。



優しい口調で話し掛ける流河は、まるで僕を慰めているようだ。



『なんでも…ないっ…ん……っ…あっ!』



ユルユルと動く腰が、僕をやんわりと攻め立てる。



『月くん、ごめんなさい…』


『なんで…謝るんだよっ…んぅ…』


『泣かないで下さい。』


『泣いて…なんかっ…あっ!!アッッ…』



流河は腰を早く動かし絶頂へと導く。



『イクッ…もう、んっ…あっ、あっ…』



『一緒にイキましょう。』



流河は涙で濡れる目尻にキスを落とすと、僕のモノを指で扱いた。



『あっ…だめっ…ア゙ァァァ!!』



『月くん…!!』



僕が果てたと同時に、流河も僕の中で精液を吐き出した。



ドプドプと熱い白濁液を感じながら、僕は意識を失った。



僕を見つめる流河はとても優しい瞳をしていたような気がしたが、僕は暗い闇に引きずり込まれた。



。。。。。。



ゆっくり目蓋を開ける。



少しずつ覚醒する頭に、先程の行為が鮮明に蘇る。



『大丈夫ですか?』


『ああ。』


『送ります。』


『ありがとう。』


僕は流河に送って貰い帰宅した。



帰り際、また謝られて僕は笑顔で見送った。


僕の奇妙な行動を流河はどう思ったかは分からないけど、気分はすっかり晴れていた。



また明日から同じ毎日の繰り返しだが、突き進むしかない。



おしまい


Lの謝罪は月の心に届いたはず。
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