L×月(短編集1)
□雷
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完全に、泣き出してしまった、月の背中を撫でる。
月をベットに寝かせて、自分も横になると、月がギュッと抱きついてきた。
『んっ。んっ。僕、雷も、暗い所も苦手っ。』
そう言う月に、優しく笑うと
『私も、雷は好きではありませんよ。一緒ですね。』
と言って、頭を撫でてやる。
外では、相変わらずゴロゴロと声を上げてる雷に、ビクッと体を振るわせる月をギュッと抱き締める。
何かを思いついた竜崎は、月の片方の耳を手で塞いで、もう片方の耳元で話だした。
そして、手を握りながら、
『こうして話すと外の雷の音、気にならないでしょ?』
『んっ。ホントだっ。りゅうざきの声だけしか、聞こえない。』
でも、竜崎の息づかいが、耳の側で感じて、ゾワゾワする。
『りゅう、ありがと。ホント優しいねっ。大好き。』
僕は、抱き締める腕に力をこめた。
『そうですか?それは、良かったです。』
『小さい頃は、雷が鳴ると、すぐに泣き出してしまって、同じクラスの男の子に、女の子みたいだって、冷やかされたんだ。
雷の音を気にしないようにしようと思っても、無理だった。』
『高校生の頃は、どうしてたんですか?』
『体調が悪いって言って、保健室で布団を被って、泣きながら耐えた。』
『そうですか。。人間は、誰でも苦手な物があるものです。』
優しくそう言うと、耳元にフッと息を吹き掛けた。
『あっ。んっ。』
月が身をよじる。
『でも、今は一人じゃなく、りゅうざきが居てくれる。ありがとう。』
月の瞳から、涙が溢れた。
『ずっと、一緒に居ます。大丈夫です。』
そう言うと、耳の中に舌を入れた。
クチュっと音がする。
『んはっ、りゅう、すきっ。』
うわごとのように、竜崎の名前を何度も言う月に、優しく微笑むと、
竜崎は、月の耳元で、息をフゥーと吐いて、耳たぶを甘噛みした。
『んはっ、はぁ、はぁ。』
ダイレクトに、竜崎の息づかいが聞こえて、すごく感じちゃう。
『雷が、何処かに行くまで、続きはできませんね。両手が塞がっています。』
と竜崎は苦笑いした。
月は、雷の恐怖からは解放されたが、もどかしい快楽は当分続きそうだった。
おしまい
暗い部屋も、雷もキライな月。
お子ちゃまです(笑)