L×月(短編集1)


□不機嫌
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『・・・』



寝室は真っ暗で、タバコの火だけが赤く光っていた。


タバコを吸い終わり灰皿で消すと、ベッドに大の字に寝る。



目の前はすっかり、暗闇に包まれたが、徐々に慣れてきて天井の模様がうっすら見えるようになった。



雷が恐い月くん。

暗い場所を恐がる月くん。

一人にすると、すぐ起きてしまう月くん。

泣き虫で、寂しがり屋の月くん。

ちょっと天然な月くん。

可愛い笑顔で見つめてくる月くん。

ぷっくりしてて、柔らかい口唇の月くん。

すらりとして、綺麗な手足の月くん。



『・・・』



月くんは、隣の部屋で何をしてるんだろうか。。



無言で部屋を出てきてしまったが、冷たい態度をとってしまったな。。。



『タバコも吸って、落ち着いたし部屋に戻りましょうか。。』



ゆっくり、ベッドから起き上がると扉に向かって歩き出した。



取っ手に手をやると同時に、



『コンコン。』


と、控え目な音がした。



取っ手に置いてた手を、とりあえず離すと、



『なんでしょうか?』


と、扉越しに答えた。



『りゅう、なんか怒ってる?ごめんね。僕、りゅうに嫌われたくない。
りゅうざきと一緒がいいから、やっぱりイギリスなんて行きたくないよ。』



『・・・』



月くんの声は切なそうで、泣きそうに聞こえた。



『部屋に入ってください。』



すると、カチャっと音がして扉が開き、目の前には、うつ向いて立ってる月くんが居た。



ゆっくり背中に手を回し、寝室に入れる。



扉が閉まった途端に、部屋は暗闇に包まれ、月は竜崎の袖をギュッと掴んだ。



竜崎はゆっくり顔を近づけると、気配を察知したのか、月もゆっくり顔を上げて竜崎の口唇に、自分の口唇を押しあてた。



触れるだけのキスから、だんだん激しいものになり、クチュっと音がする。



『んっ、はぁ、ンッッ。』



月から甘い声が発せられると同時に、ゆっくり口唇を離した。



さっきまでタバコを吸っていたから、キスは苦かっただろうに、何も文句は言わない月くん。


月は心配そうにこっちを、ただ見つめていた。



『さっきは、冷たい態度を取ってしまいすいません。』



竜崎は、ギュッと月を抱き締めた。



つづく



少しイライラが解消される竜崎(笑)
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