ギロロ君の初恋日記

□難関
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「……だったら
こうやってさぁ……」


入ろうとした部屋から
弟の声ではない甲高い声が
聞こえてくる――


「……ストローさして……
いっしょに飲んだらさ……
ラブラブじゃね?エヘヘ……
飲も!」


なんていう、
なんちゅう可愛いことを
言うんだ、ケロロ君!
言われてる相手が
俺ではないことが
心底悲しいぞ――

ギロロよ、お前はさぞかし
今メロメロになっているの
だろうな!我が弟ながら
羨ましいのを通り越して
妬ましいぞ!
ドチクショーめ!


「……あ……ン……
ダメ……家の人きたら……」


けっ、やっぱり手をだしたな!
そりゃそうだろ、
あんなに可愛く迫られた日にゃ
思春期男子がムラっと
こないわけがない、
当然だ、当然だが……
相当ムカつく!


「……ガルル兄ちゃんとか……
来たら……」


もう来てるのだが――


「大丈夫だよ、
兄ちゃん父ちゃんと
将棋してたから……」


フッ、甘いな、ギロロ、
親父にはとっくに俺が
勝っているんだ――


「だから……
してもいい?キス…」


ぶわぁーかっ!!
キスしていいなんて
聞いてんじゃねーっ!
全くもって
スマートさにかけてる!
ドロ臭すぎだ!
ええぃ!断れっ!
断るんだっ、ケロロ君!!


「……ン……いいって……
まだ……言って……ない……
のに……」


シィィィーーット!!
ガッデム!地獄に落ちやがれ!


「……ぁ……ふ……」


はっ!俺としたことが……
つい取り乱してしまった……
いかんな

落ち着け、俺
お前はクールガイの
ガルルじゃないか――


「……ん……んぁ……
ギロロぉ……」



ギロロよ、
お前はすっかり勝ちほこった
気でいるのだろうが――
重大なことを見落としている。
いや、或いはもしかしたら
気付いているのかもしれない。
今のお前は
きっとそれ以上先には進めない、ということを……
例え今以上を求めるように
なっても――
きっとお前には知識がない


俺にはある


もっと君を――

可愛い声で啼かせて――

悦ばせて――

乱れさせて――

色めき立たせることが――

俺にはできる

ギロロにはない知識と技術を
俺はもっている――

勝負はこれからだ――

そう、始まったばかりだ――

そして――

最後に勝つのは――

俺だ!!!


フハハハハハ!!!!!



「……兄ちゃん」

「……は?」


いつのまにか目の前のドアが開
かれ怪訝な顔をしたギロロが立
っていた。


「何やってんだ?」


し、しまった!つい声を出して
笑ってしまった!
どーする、俺!どーするよ!?


――落ち着け、落ち着け……
  ガルル、こういうときこそ
  冷静さが重要なんだ


「ああ、すまない。
 あまりにも親父に
 快勝したのでな。」


俺はにこやかに弟に笑いかける



「シューティングなら
 負けないと親父がいうので
 とりにきたのだが……
 入ってもいいか?」

「あ、あぁ…うん」


少し不機嫌そうに答えた
ギロロの横を通り抜け、
部屋に入ると緑のケロロ君は
俯き、ちょこんと座っていた。


「やあ、ケロロ君、
 いらっしゃい」

「こんちわ……
 ガルル兄ちゃん……」


少し頬を染め、
黒い瞳をクリクリさせながら
ケロロ君は俺の方を見た。


グハッ

可愛い……

可愛い過ぎるぞ、ケロロ君!!


「ちょっと失礼……」


俺は棚から演習用の
レーザーガン(ちなみに
見た目がかなり派手である)を
出すと、あくまでも冷静に、
そして爽やかにケロロ君に
微笑みかけると
「邪魔したね、ケロロ君、
ゆっくりしていってくれよ」と
言って部屋をあとにした。

部屋から聞こえてくる
ケロロ君の声は――


「カッケぇー!
ガルル兄ちゃん!
あんなにデカい銃
オレ初めてみた!」


フッ……ポイントゲット!


「だろ?うちの兄ちゃんは
 とにかくなんでも
 スゲぇーんだ!」


……。

うっ、ギロロ……
お前にそんなふうに言われると
兄ちゃん
胸が痛むじゃないか……

うう…
ううう……




……バカ兄貴

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