輝夜姫の名前

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「ごめんね、面接時間に合わせてもらっちゃったんだね。部活のある時間に合わせてもらっちゃってよかったのに。」

聡子は只でさえすぐに遠慮をすると言うのに、俺もいきなりとはいえ、あの場であの態度をしてしまったことを後悔した。

「俺がそうしたいと思った事だ、気にやむな。」
今日何度と言ったか分からない台詞に笑いが漏れる。
事務室に伝えると、何故か校長室に行くように言われそこまで案内すると、俺の役目はここまでになる。

「俺は今から部活に行くが、もし待っていられれば一緒に帰らないか?」
俺がそう言うと、聡子は首を傾げて
「いいの?」
と聞いた。

「俺が言い出した事なのだが、まさかそう聞かれるとはな」
と言えば
「ごめん…そうだね。ただ私も一緒に帰りたいなって思ってたから顔に出てたかな?って思って」
なんと!!
俺の脳内は満開の花が咲き誇った世界が広がった。
「そ、そうか…じゃー多分面接の方が早く終ると思うのだがテニスコートの方に来てもらっても構わないだろうか?場所は口で説明しても怪しいだろうし、事務室に声をかけておこう。」
俺がそう言うと、聡子は微笑んで頷いてくれた。
「ありがとう、弦一郎君」
「では、武運を祈ってる。」

そう俺が言うと、
「まるで戦地に向かうみたい。本当にありがとう、弦一郎君のお陰で緊張しないで済みそう。」
そう言ってクスクスと笑いだした。
変なことを言ったつもりは無かったが、それで聡子の緊張が解れたのなら喜ばしいに越したことはないと思い、俺は校長室に入っていく聡子を見送り部活に向かった。


先ずは切原に制裁をしないとだな!と気合いを入れる。
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