アネモネ
□イチ−立海編
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精市side
あの事件の事を忘れてしまった聡子、それは良いことなのかもしれない。
蓮二もそう思ったのだろう、何か言おうとした真田を遮り蓮二は事故だと言った。
多分真田も事件ではなく事故だと言おうとしてたのだろうが、遮られた事で憮然としてた。
聡子は終業式から今日まですっぽりと記憶が抜け落ちてるらしい。
それも別に大した事では無いだろうと結論つける。
しかし聡子は本当に蓮二が好きなのだろう、もちろんそこにあるのは兄弟愛なのだろうが、俺は面白くない。
そして、真田と俺のポジションが一緒と言うのが気に入らなかった。
実際あの事件で分かった事は、俺は聡子が好きだと言うことだった。
あんな年の離れた男にもストーキングされて、傷つけられた聡子。
守ろうと言う気持ちと、もう誰にも晒されたくないと言う気持ちが生まれた。
その晒されたくないと言う気持ちは、もしかすると、あのストーカーと同じなのかもしれない。
俺がそう気がつくと絶望すら覚えた。
だけど、傷つけたく無い。
守りたい。
と思うのはきっと違うから、俺は聡子を大切に出来ると思うから、この気持ちを聡子に傾けようと思う。