04/07の日記

20:31
クラA:ルシになった男と少年の話
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スサヤ卿って、鬼畜っぽいと聞いたのだが…。そんな要素はどこに落としてきてしまったのか分からない。

朱雀のルシ・スサヤ卿って、妄想するだけで萌えたぎる。うん。

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あの少年は、私にとってどんな存在だったのだろうか?

…もう、思い出す事も出来ない。


『ルシになった男と少年の話』


朱雀の全てのルシが使命を果たし昇華した後、私はルシとなった。
白虎・蒼龍の2国と戦争状態だった為、ルシとなった私という存在は直ぐ様朱雀に受け入れられた。

だが、

「…僕は、アンタを認めない。」

一人だけ。たった一人だけ、私に敵意を向けてくる少年がいる。…敵意?違うな。拒絶という言葉が一番しっくりとくる。赤いマントを羽織ったその少年は、全力で私という存在を否定した。

「認めるも何も、私はここにいる。朱雀を守るというクリスタルの命の従い、ここに存在している。」

「そんなの知るか。認めないと言ったら、僕は絶対に認めないっ!!」

アンタなんか、いらない。

首をブンブンと激しく横に振り、私という存在を拒絶する少年。
何故かは分からない。分からないが、この少年に拒絶されるのが悲しかったし許せなかった。

何故、お前は私をそこまで拒絶する?…分からない。

「お前が朱雀の民である以上、お前も私が守る対象だ。それの何が気に喰わない?」

「何が気に喰わないか、だって!?そんなの、全てに決まってるだろ!クリスタルの傀儡に成り果てたアンタに守ってもらわなくたって、自分の身ぐらい自分で守れる。…どうせ、僕の事も思い出せないんだろ?なら、ほっといてくれ。」

「……。」

少年の言う通り、ほっとけばいいのだ。拒絶されようがどうしようが、私という存在はこの朱雀に必要とされているのだから。

「私がこの朱雀のルシである事が覆らないのと同じく、お前が朱雀の民である事は覆らない。…朱雀の全てを守るのが、私に与えられた使命だ。」

…でも、簡単なはずのそれが出来なかった。
どうしても気になって、つい目で追ってしまう。姿が見えなければ、その姿を探してしまうのだ。

気にかかるのは何故だと答えを己の中で見出だそうとするも、頭の中に広がった紅い靄が邪魔をして答えは見出だせた試しがなかった。

《…ー、……ー。》

「…ああ、もう時間か。大丈夫だ、問題ない。」

頭に響くクリスタルの声に応じる私を見て、少年は酷く悲しげな顔をした。

認めない、いらないと口では言う癖に、何故その様な顔をするのか?それにも何か理由があるのだろうか?この少年に関しては、分からない事ばかりだ。…いや、もしかしたらソレを私がただ忘れ去ってしまっているだけかもしれない。

「…どうやら、時間のようだ。お前にも、朱雀クリスタルの」

「そんなのいらない!僕から大切なモノを奪っていったクリスタルの加護なんて、クソ喰らえだ。加護なんか、僕にとっては呪いも同じだ…!!」

朱雀クリスタルなんか、いつか粉々に砕いてやる!!

そんな事を叫んで、私の前から走り去っていった少年。追いかけなくてはと足が少年が去った方向へ動きかけたが、実際に動いたのは真逆の方向だった。

私はルシ。クリスタルの命は絶対で逆らう事は出来ない。まぁ、逆らおうなんて考えた事もないが。

「…あの子が本当にクリスタルを砕こうとしたら、その時は戦う事になるのだろうな。きっと。」

出来れば、戦いたくない。

浮かんだ想いは、直ぐに紅い靄に溶けて消えた。


【終】

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