ディシディア文章その2
□おはよう
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私とスコールの関係に比べれば、私と君の関係は凄く仲が良い部類に入るのでは?
『おはよう』
「ライト、おはよう〜。」
バッツが満面の笑みで近付いて来たと思ったら、頬にキスをされた。
「…?」
キスされた頬に触りながら、私は首を傾げた。何故、私はバッツにキスをされたのだ?
「あれ、どうしたんだ?驚いたような顔をして。」
咄嗟に反応出来ずに固まった私を心配したのか、バッツが私の顔を覗きこんだ。何か言わなければならないとは思うのだが、上手い言葉が見付からない。
「…何故、私は頬にキスをされたんだ?」
とりあえず疑問をそのまま言葉にしてみた。するとバッツはああとポンと手を叩くと、言った。
「ああ、ただの挨拶だよ。おはようの挨拶。」
ライトは知らなかった?と首を傾げるバッツに、知らなかったと頷く。
挨拶にわざわざキスをするとは知らなかった。今まではおはようと言葉を交わすだけだと思っていたから。
「もしかして、私は今まで失礼な事をしてきたのだろうか?知らなかったとはいえ、おはようと言葉を交わすだけで済ませていたから…。」
「たぶん、大丈夫だよ。それだけで大丈夫だと俺は思う。」
今すぐ皆に謝って来なくてはと直ぐさま行動しようとした所、バッツにやんわりと止められた。
「何故だ?だって、頬にキスをしなくてはならないのだろう?」
「う〜ん…。キスは、普通ならしないんだ。というか、いきなりしたら怒られると思う。」
「???」
バッツはさっき挨拶だと言って、私の頬にキスをした。しかし、彼は普通はしない事だと言う。しかも、したら怒られると。
私には、上手く理解出来ない。頭が混乱しそうだ。
「じゃあ、何故私にキスを?君は、私に怒られたいのか?」
「なんでわざわざ怒られなきゃならないのさ!」
ライトの説教は長いから勘弁して!と苦笑いするバッツに、ますます私は分からなくなった。
怒られたい訳ではないというのなら、バッツは何がしたかったのだろうか?
「う〜ん…。頬にキスした理由は、しいて言うならライトともっと仲良くなりたかったから…、かな?」
「十分仲が良いと思うが…。」
全然足りない!と言うバッツに、首を傾げながらもそうかと頷く。
私は十分仲が良い部類(もしかしたら、凄く仲が良い部類かもしれない)に入ると思うのだが、彼が足りないと言うのなら足りないのだろう。何が足りないのかは分からないが。
「ともかく、俺はライトともっともーっと仲良くなりたいの!俺も頑張るから、ライトも俺ともっと仲良くなれるように努力して。」
「何を努力すれば良いか分からないが、了解した。」
何がともかくなのかとか、そもそも何を努力すれば良いのかと全く了解していない状況だったが、とりあえず頷いておく。するとバッツは、
「そんなライトが大好きだよ!」
と満面の笑みで、私に勢い良く抱き着いてきた。
彼に好きだと言われて悪い想いはまったくしないから、腑に落ちない事は多々あったがとりあえず良しとしよう。
【終】
毎日こんな感じのやり取りが繰り広げられてたら、ライト姉さんあたりがぶちギレしだしそうです(笑)