ディシディア文章
□幸せな未来へ
1ページ/2ページ
彼と一緒なら、きっと大丈夫。
『幸せな未来へ』
「ヴァンは、強いのね。…弱い私とは、全然違う。」
そんな事を言ったら、彼が不思議そうな顔をしながら振り返った。
「ティナは、弱くなんかないと思うぜ?」
気にすることじゃないけどなと言う彼に、首を横に振る。
「いいえ、私は弱いわ。私一人では、何も出来ないもの…。」
私一人では、ケフカから逃げられなかった。あの時ヴァンが助けてくれなければ、今でも私はきっと人形のままだった。ケフカの命令通りに破壊を続ける、破壊の人形のままだった。
そうなってたかもしれない未来の事を考えると、体の震えが止まらなかった。
「こんな私じゃ、人形と言われても仕方がないのかも…。まるで、あの時と何も変わってない…。」
「でも、今は違うだろ?ティナは人形じゃない。」
不安がる私の手を握りながら、ヴァンはニッコリと笑った。
「今のティナには、ちゃんと感情がある。泣いたり、笑ったり、不安がったりする。人形だったら、感情なんてないだろ?だから、ティナは人形なんかじゃないよ。ちゃんとした、一人の人間だ。」
「……。」
ヴァンが、彼が凄く眩しく思う時がある。眩しいけど、暖かい。彼と一緒なら、どこまでも行けそうな気がする。
ずっと、彼と一緒にいたい。
「弱いと思うなら、強くなれば良い。それだけの話だろ?大丈夫だって!」
「そうか、な?ヴァンがそう言うなら、きっとそうなんだよね。」
大丈夫とヴァンが笑えば、本当に大丈夫だと思えてくるから不思議。ヴァンの言葉なら、心の底から信じられる。
ヴァンと一緒なら、私もきっと強くなれる。
「二人で、最強の空賊になろうぜ!」
そう笑う彼に、そんな未来も良いかもしれないと本当に思った。
【終】