ディシディア文章

□残酷な世界
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俺の幸せを願うなら、冷たく突き放してよ!



『残酷な世界』



「この戦いが終わったら、皆、元の世界に戻るんだよな…。」

コスモスの想いを受け継いで、カオスを倒して…。
そうしたら、ここでの仲間とさようならだ。だって皆には戻るべき場所が、待っている人がいるから。

「…俺?そりゃあ、戻れるのは嬉しいよ。ボコにだって会えるしな!アイツ、元気にしてるかな?」

俺にとって、この世界は残酷なぐらい優し過ぎたのだ。

仲間がいるだけで、こんなに安心するなんて知らなかった。こんなに楽しいなんて知らなかった。こんなに世界が輝いて見えるなんて知らなかった…―。

どうせ終わりが来るなら、最初からこんな事なんて知らなければ良かったのに。

「元の世界に戻ったら?そうだなぁ〜、またボコと一緒に世界を旅しよっかな!…あ、でも駄目か。ボコのヤツ、奥さんと子供いるもんなぁ。家族と引き離すのは可哀相かも。」

皆が全員、もうそれぞれの世界に帰る事を前提に話をする。とても嬉しそうに。
誰だって、家や家族は恋しく思うもの。早く帰りたいと思うのは、当然の事。

だから、この気持ちは言ってはいけないんだ。絶対に。

「大丈夫だって!俺には、新たな冒険が待ってるんだ。その事を考えると、胸がワクワクするんだ。余計心配になったって、ちょっと酷くないか?」

本当はね、俺はもっとこの優しい世界にいたいんだ。優しい皆と一緒に。

元の世界に戻ったら、俺はまた一人で旅を続けなければならない。それを考える度に、そんなの嫌だって叫んでしまいたくなるんだ。そんなの、迷惑にしかならないのは分かってるよ。分かってるから、叫んでしまわないように必死に心の底にしまい込んでいるんだ。

だから…―。

「本当、大丈夫。大丈夫だから…。お願いだから、早く俺の手を離してくれよ…。」

残酷なぐらい優しい貴方は、俺の手を握ったまま、決して離そうとはしなかった。


【終】

なんか、キャラが違くてごめんなさい。
好きなキャラは時々病ませる傾向が、私にはあるみたいです…。

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