ディシディア文章その2
□唇にキスを
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勇気を出して、胸に秘めていた想いを彼にぶつけてみました。
『唇にキスを』
そんなに驚く事でもないだろうに。
「本気…、なのか?」
「ああ。」
好きだと、バッツに想いを告げた。
想いを押し殺して今までの心地好い関係のままでも良かったのだが、彼が誰かのモノになってしまうかも知れないと考えると、耐えられなかった。
「何度でも言う。俺はバッツが好きだ。」
だって彼の側にはいつも誰かしらいるから、その中の一人が俺と同じ考えになっていても可笑しくない。行動を起こさずに後になって後悔するのは、嫌だった。それぐらい、俺の中でバッツの存在は大きくなっていた。出来れば、これからも俺の側で笑っていて欲しい。
「だって、俺は男なんだよ?筋肉付きにくい体質だから体は細いけど、ちゃんとついてるんだからな!」
「水浴びとかの時に裸はみてたから、アンタが男だって事は知っている。」
目を大きく見開きながらわたわたと慌ててあれこれと言うバッツに、可愛いなと思う。
こんな可愛い彼を独り占め出来たら、どんなに幸せだろうか!俺には想像出来ない。
「知ってるなら、どうして…。」
「そんなのを聞かれても、分からない。けれど、俺はバッツが好きだ。この気持ちは、間違えや偽りなんかじゃない。」
男だからとかそうゆうのを気にならない程、バッツが好きだ。バッツなら、例え彼がモルボルだって愛せる自信が俺にはあった。
けれど、どうやらバッツはそうではないらしい。さっきから何かと理由をつけて、断ろうとしているように感じた。
「バッツは、俺の事が嫌いなのか?もしそうなら…。」
「スコールの事は、嫌いじゃないよ!これは本当。」
迷惑なら断ってくれて構わないと言ったら、バッツはすぐに首を横に振ってそれを否定した。嫌われてなかった事にほっとしたが、ならどうしてと眉を潜めた。
「じゃあ、何の問題はないじゃないか。何を迷う必要があるんだ?」
好きという気持ちの前では男同士とか些細な問題だろう?と言うと、そうじゃなくてとバッツは泣きそうな顔をした。
「…だって俺、意外と独占欲強いんだよ?嫉妬とか、しちゃうかもしれない。」
そんなの迷惑にしかならないじゃんとボソボソと理由を言うバッツに、なんだそんな事かと俺はハァとため息をついた。もっと凄い理由があるのかと思った。
「構わない。むしろ、嬉しいぐらいだ。遠慮せず、どんどんしてくれ。」
それぐらいの事ぐらいで悩むなと言うと、それぐらいの事って言うな!とバッツは怒った。
「スコールが俺じゃなくて誰か他の人を好きになったとしても、離してあげられないかもしれないんだぞ!?スコールだって困るだろ、それは。」
「大丈夫だ。たぶん俺が、バッツを離さない。」
だから安心しろと言うと、あとかうとか言いながらバッツは俯いてしまった。耳まで真っ赤にして、バッツは本当に可愛いなと思う。実際可愛いなんて言ったらバッツは間違いなく怒るから、決して口には出さないが。
「じゃあ、良いよ。俺、スコールだけのモノになっても良い…。」
やっと観念したのか、バッツはボソリと呟いた。それにホッとする。実は断られるじゃないかと、ずっと不安だったのだ。良かった、バッツが俺の想いを受け止めてくれて。
「なっても良い、じゃない。もともとアンタは、俺のモノだ。」
アンタに最初から選択肢なんかなかったんだと笑いながら冗談を言うと、なんだよそれ!とバッツはまたしても怒った。
「じゃあ、スコールも俺のだからな。俺、独り占めしちゃうからな!」
覚悟しろよな!と笑うバッツに、それも良いかもしれないと俺も笑った。
「実を言うとね、俺も前からスコールの事が好きだったんだ。驚いた?」
「なんだ。なら、悩まずにさっさと言うべきだったな。」
愛しい存在へ、愛の口づけを。
【終】
なんか妄想してる途中で恥ずかしくなった。なんでだか私には分からないけど。
ラブラブなのを妄想するのは、やはり難しい…。