ディシディア文章その2

□終焉の歌
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終焉の歌よ、高らかに響き渡れ。



『終焉の歌』



「君、正気なのかい?」

フラッと俺の前に現れたクジャは、腕を組みながら言った。

「さぁ?自分では良く分からないよ。」

ジッと見つめてくるクジャに肩を竦めてみせると、彼はハァと深々とため息をついた。

「コスモスの戦士とは戦いはするけど、君は彼等にとどめはささない。ましてやこの前、瀕死のヤツを助けたというじゃないか!君は、カオスの戦士だって自覚があるのかい?」

「自覚なんかしなくても、痛いほど思い知らされてるさ。」

呆れてモノも言えないよとわざとらしくため息をつくクジャに、これ以上話す事はないと背を向けた。すると、

「気をつけたまえ。あの皇帝が、君の行動に目を付けている。あまり派手な行動をしてると、処刑されるかもしれないよ?」

「…胸に刻んでおくよ。」

これは警告だというクジャには分からないように、俺は笑う。
それが目的だと言えば、彼はどんな顔をするだろうか?

「優しいんだな、わざわざ警告しに来るなんて。もしかして、クジャは俺の事が好きだったりして。」

「勘違いしないでくれたまえ、僕はただ皇帝が大嫌いなだけ。アイツの思い通りに事が進むのが許せないだけだ。」

振り返ると、ああゆう偉そうなヤツは大嫌いなんだとクジャが顔を歪ませていた。

「計画を失敗させたら、きっと皇帝はとても悔しがるだろうね。その様子を想像するだけでゾクゾクするよ…!」

「…まぁ、ほどほどにな。」

クジャはよほど皇帝が嫌いらしく、さっきから皇帝の屈辱的な顔を想像しては幸せそうに笑っている。人の趣味に関してとやかく言うつもりはないが、混沌側の人間は変わった趣味を持ってるヤツが多いような気がする。前々から思ってはいたけれど。

「僕が奏でる歌には、秩序の戦士達の断末魔と皇帝の悔しがる声が必要なんだよ。それらが揃えば、きっと素晴らしい歌を奏でられるはずだ…!」

早く奏でてみたいよとうっとりとした顔をするクジャに、そりゃ凄まじい曲になるだろうなと俺はこっそりと心の中でため息をつく。
断末魔と悔しがる声で出来てる歌なんて、聞いていたら気が狂いそうだ。

「歌、ね…。なんなら、俺が詩人にでもクラスチェンジして歌ってやろうか?」

「君が歌ってどうするのさ。僕が必要としてるのは、秩序の戦士達の断末魔と皇帝の悔しがる声だ。君の声じゃない。」

早速演奏会の準備をしなくては!

忙しくなりそうだと飛んでいってしまったクジャを見送りながら、ため息をつく。望むなら、断末魔ぐらいあげてあげても良かったのに。

「一度死を迎えれば、記憶も何もかもリセットされるんだろ?なら一度死んでしまえば、この中途半端な状況もリセットされるはずだ。」

旅人として今まで生きてきたせいか、自分で命を絶つという行為をしたくなかった。というか、俺にはそれは出来ない。
出来ないなら殺してもらおうと戦いで手を抜こうとしても、体が無意識に動いてしまう。俺は何をしたいのだろう?自分でも分からない。

この苦しみから解放されるには、一度死ぬしかないのに。

「俺は、この苦しみから早くさよならしたいんだ…。だから、誰でも良いから早く俺を殺してくれ…。」

終焉の歌を歌う時を夢見て、今は苦しくても生きて行くしかないのだ。



【終】

せっかく混沌側にいるんだから、混沌側の誰かと絡ませてみようと思いたってみた。

最初はゴル兄さんの予定だったのに、気付いたらクジャになってたのは秘密(笑)

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