ディシディア文章その2
□認めません!
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俺は、絶対に認めないんだから!
『認めません!』
弾かれた剣が宙を舞い、遠く離れた地面に突き刺さる。
「……。」
そんなのを気にせずに、ぼんやりと地面に転がりながら空を見上げる。
見上げた青い空を、ボコに似た形の雲がゆっくりと流れていく。時間を忘れてずっとソレを眺めていたかったが、多分無理なんだろうなぁとこれまたぼんやりと思った。
「いつまで、そこでそうしているつもりだ。」
少し呆れ気味な声と、剣を鞘に戻す音。いつまでも起きない俺を心配したのか近くまでやって来て俺を見下ろすライトに、俺はゴロンと横に転がって彼に背を向けた。
「…拗ねてるんだから、ちょっとほっといてくれ。」
「そんな事をしても、勝敗が変わる訳ではないだろうに…。」
時間の無駄だと呆れながら言うライト。そんな彼を、俺はガバッと勢い良く起き上がるとキッと睨んだ。
くそ、汗一つかいてないなんてライトはどうかしてる。俺なんか、全力で戦ったせいで全身汗だくだっていうのに!
「手合わせとはいえ、悔しいものは悔しいんだよ!拗ねるぐらいしたっていいじゃないか!!」
「悔しがる時間があったら、私は次の作戦を練るが…。」
この場合、拗ねるのが普通なのだろうか?
今度からそうしてみようと言うライトに、真似しようとしなくて良いからと俺は慌てて首を横に振ってからハァとため息をついた。
拗ねるライトを見てみたい気がするが、また彼に変な事を教えたね?ってセシルに怒られるのは嫌だ。怒ったセシルは凄く怖いし。彼に怒られるのは、出来るだけ避けたい。
「あ〜、ちくしょう。どうして勝てないかなぁ。ライトってば強すぎるんだよ…。」
「そんな事はない。君は十分強いと私は思う。」
真剣な顔をしてそう言うライトに、その態度がムカつくんだよと口を尖らせる。これが、勝者の余裕ってやつだろうか?どうしよう、全然勝てる気がしない。
「絶対、絶対次は勝つんだからな!それまで首を洗って待ってろ!!」
「楽しみにしている。」
ビシッと指差しながら宣言する俺を見つめ、ライトは優しく微笑んだ。その顔は反則、卑怯だと思う。
「…(ライトの真剣な顔に見とれて負けたなんて、俺は絶対に認めない!認めないんだから!!)」
胸がドキドキと激しく音を立ててる気がするが、きっと気のせいだ。うん。
【終】
相手のふとした表情に見とれちゃう事ってあると思うの。まさにソレ状態。
バッツがWoLに勝てる日は、たぶん来ません(笑)