零式文章その2

□修行不足
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俺も、まだまだ修行が足りないな…。



『修行不足』



正直、面白くない。

「こうゆう場合は、SHG系よりBOM系の方が良いでしょう。効率的に敵を沢山倒す事が出来ます。」

「…そうか!僕とした事が、まず出だしから間違っていたんだな。どうりで途中から可笑しくなっていく訳だ。」

問題が解けて嬉しいのかニコニコと笑いながらペンを走らせるエースと、魔法の事ならお任せくださいとこれまた嬉しそうに笑うクオン。面白くないとムスッとしているのは、俺ただ一人だ。

「魔法関係のレポートで分からない所があるから、一緒にクリスタリウムに行こう。」

そうエースに誘われて、一緒にクリスタリウムに来たのは30分程前の事だ。
二人で専門書を読みあさり、レポートに使える資料を探す。が、なかなか見つからない。これはもしかしたら長期戦になるかもしれないと二人で覚悟を決めた時、助け舟を出してくれたのがクオンだ。魔法書の殆どを頭に入れてしまっている彼は、いとも簡単にエースが引っ掛かっていた所を解いてしまった。

「流石クオンだ。助かったよ。」

「魔法関係なら、魔導院一の知識がある私に聞いてください。貴方になら、私の貴重な時間を使ってあげても良いですよ?」

解けない問題があったら頼むよというエースと、頼られた事が余程嬉しかったのかニコニコと上機嫌で笑うクオン。他人から見たら良い雰囲気を放つ二人に、本当に面白くないと彼等に気付かれないように席を立つ。

確かに俺は、あまり魔法には詳しくない。一般的な知識はあるにはあるが、それ以上は必要としていない。俺の戦闘スタイルは、魔法を使うのではなく敵の懐に潜り込んで急所を突くというものだ。一般的な知識さえあれば事足りる。しかし、

「(必要ないではなくて、ちゃんと学んでおけば良かった…。)」

そうしたら、俺がエースを悩ましていた問題を解いてやることが出来たのに。クオンの手など借りなくても。

エースが俺以外の誰かを頼る所なんて見たくはないというの想いが一瞬頭を過ぎって、俺はため息を付きながら首を横に振った。
そんな醜いモノを押し付けたって、エースを困らせるだけだ。そんな事を考えるなんてどうかしてると、俺はまたため息をついた。

「待ってくれ、エイト!」

一から修行のやり直しだと闘技場に向かって歩いていたら、エースが慌てて追い掛けて来た。俺に追いつくと彼は、置いていくなんて酷いじゃないかとジトッと睨んで来た。

「勝手に行くなんて酷いじゃないか!行くなら行くで、ちゃんと声をかけてから行ってくれ。」

「…邪魔しちゃ悪いと思っただけだ。他意はない。」

レポートはもう良いのかと聞くと、もう問題はないとエースは頷いた。

「問題としていた箇所は解決したから、もう大丈夫だ。後でも出来る。それにレポートよりも、僕はエイトと一緒にいる時間の方が大事だ。」

駄目か?

首を傾げながら聞いてくるエースを拒む事なんて俺に出来るはずもなく、駄目ではないと言うしか選べる選択肢はなかった。

「俺と一緒にいたいというのは歓迎はするが、これからどうする?鍛練でもするか?」

「エイトの頭の中は、鍛練する事しかないのか?リフレで新しいデザートのメニューが出たらしいんだ。今から、一緒に食べに行こう。」

エースの言葉一つで機嫌が直ってしまった俺は、本当に修行が足りないなと思った。


【終】

モブと楽しそうに話すエースと嫉妬するエイトとのリクエストでしたが、ここはクオンさんにお出ましいただきました。クオンさんはモブじゃねぇって指摘はもっともだと思いますが(笑)

やり直せとか遠慮なく言ってくださいね。リクエストありがとうございました!

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