創作小説

□めぐりめぐり、僕たちは会うべくして出逢った
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少年は焦っていた。

早く、早く。一刻も早くあの人のもとに行かなければ。


所々煤のついた本来は美しかったであろう短い栗色の髪を乱しながら、身の丈以上の大剣を担いで走る。

蒼く澄んだ瞳にはかすかに怯えがにじむ。

なりふり構っていられなかったのか、裸足で飛び出した足にはすり傷と獣道で連れてきてしまった棘。 



すっかり息が上がってしまった少年はようやく歩みを止めた。

体を織り込むようにして呼吸に集中する。

思えばずっと走り続けてきたのだ。体中が酸素を欲しているのを少年は感じた。

しばらくは動けないかもしれない。


ふ、と顔をあげてあたりの気配を探ってみると、木々のざわめきが警告していることを悟る。

大きく息を吐き出して再び走り出そうとしたその時、


風の流れが変わる。



「―――ッッ」



慌てて身をかがめると、先ほどまで少年の体があった空間を刀が掠める。

現れた黒ずくめの男は、今まで必死に距離を開こうとしていた者たち。

要するに追っ手だ。


男が次の手を繰り出す前に体勢を立て直そうとする。

しかしそれを阻むかのような背後から別の気配を感じた瞬間。



「危ない!!」



まだあどけなさの残る叫び声とともに辺りが光る。

まるで太陽を直視したみたいだ、と少年は不覚にも目をつぶってしまった。



閃光のような激しい光に慣れたころ恐る恐る目を開けてみると、

そこには黒ずくめの男であったろう物体がぶすぶすと異臭を放っていた。

あまりの光景に目を丸くした少年が、
次に捕らえたのは同じくらいの年ごろの少年だった。




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