□silver fang(ゾル家執事夢)

□silver fang(過去編)後編
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「アゲハ、」

「…ひっ、」


声をかけるとアゲハがびくりと身を揺らす。
小刻みに震え、哀れな表情で自分を見上げるアゲハの姿は、いたずらが見つかり親を前に叱られる瞬間を震えながら待つ小さな子供みたいで、イルミはことさらに加虐心をそそられた。




「…アゲハ、いいよ。欲しいのなら言ってごらん?」


言葉を促すように、イルミはアゲハの唇に指を這わす。
触れた唇はわずかながら小刻みに震えていた。



「あ…、い……言えません…」

「なぜ?お前がそんな顔するんだからよっぽどなんだろ?」


「…いっ、言えません!言えません、だって私は…!―――ッひ!?」


不意にぞろりと中心を撫で上げられて、身ぶるいするような快感が全身を襲った。


「〜〜〜〜〜っ」

「ほら。身体は正直だね?アゲハ」



布の下で、すでに硬く反応を始めていたアゲハのそれ。
自身が情けなく思えてアゲハは唇を噛んだ。

瞳にはうっすらと涙。


目を背ければ、『逃げるな』とばかりにそれを強く握られた。
襲い来る快楽に思わず身をよじる。



「…ッあ、…っ!…イルミ様…っ」

「さて。このままどうして欲しいかな、アゲハ?言えばちゃんとあげるけど。…どう?聞かせてよ、お前の口から」

「んっ、ぅあっ!?あ、」


布の上から爪を立ててそのままぎちぎちとこすり上げられた。
達しそうになるその寸前まで追い詰められるが――――しかしイルミはそこでパッと手を離してしまう。



眉根を寄せ、荒く息をつくアゲハ。イルミはただじっとアゲハを見ていた。

無情なイルミの瞳。
そんな視線に見つめられ、やがてアゲハは観念したのかそのうちにゆっくりと言葉を紡ぎだした。



「あっ、は…。……イルミ、様……、イルミ様、わ……、わたし…」

「ん?…なに?」



「――――…っ、わたし…っ、私は…っ!あ、貴方の執事で……それも、あんな失態を犯したすぐ後で……!!
こ…こんな事を…貴方様にお願いできるような立場に無い事は十分承知しております……。こんな事…許される身ではありませんが………でも、でも今日だけはどうか…、聞き届けて…いただきたいのですが……」


「うん。いいよ、何?言ってごらん」



「う…、あ…その……、おっ…お願い、です…!お願いします……!どんな風にしていただいても構いませんから、どうか…!
私の身に残るこの傷の痛みを貴方の『痛み』で消してください…。忘れさせてください………お願い、します……抱いて下さい…イルミ様……」




早鳴る自身の心臓を押さえ、震える口で言葉を搾り出して。アゲハがイルミにすがりつく。

目が合ってしまうと、恥ずかしいのか顔を伏せてしまったが。
それでもイルミはアゲハの言葉に満足したのかわずかに笑って、アゲハを撫でた。



「いい子だね、アゲハ」

「ん…、っはぁ」


銀と赤の瞳からこぼれる涙を舌で拭う。

頬にキスを落とすと、アゲハの体は力が抜けたようにベッドへと沈んだ。


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