□silver fang(ゾル家執事夢)

□silver fang(過去編)前編
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「ちょっと大変よ!?」

バタンッと少し乱暴に扉を開けて、1人のメイドが給仕室に駆け込んできた。
そこにいた数人のメイド達と2人の執事が、何事かと飛び込んできたメイドに注目する。


「どうしたのよ血相変えて」

「どうしたもこうしたも無いわ!!アゲハ様が刺されてお怪我をなさったらしいの!」


「「「ええ!!?」」」


駆け込んできたメイドの口から出た思いもよらない事柄に、その場にいた人間達は目を開いた。





「…いや待て、それはおかしいぞ。アゲハの奴は今はイルミ様と任務に出ているはず」

「いえ、ですからその際にお怪我をなされたとか…!!今はもう戻られて、治療を受けられているそうです…!」


思い出すようにして言った1人の執事にむかって、大仰な手振りで説明を促すメイド。

その後ろで他のメイドたちもきぃきぃと騒ぎ始めた。



「まったくどこの女なの!?あたしたちのアゲハ様に!!」

「そうですわ!あのお綺麗な顔と体に傷でも残ったらどうしてくれるんですの!?」

「本当だわ!!許せない!!」


それを見てタジタジと身を退いたのは側にいた2人の執事。
騒ぎ立てるメイドたちを一瞥してから、お互いに顔を見合わせる。



「………まったく、こいつらどうなってる?」

「普段はあれほどボロクソ言ってるのにな?」




…女心はわからん…。


2人でそう呟いて、はぁー、と長いため息を吐いた。




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