□原作沿い夢 double style(グリードアイランド編)
□新たな出立
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渋い顔をしたツェズゲラさんから合格の判定をもらって、僕はステージ奥へと歩を進めた。
通路の先の部屋の扉を開けると、階段状に席が並んだ講義室のような場所に15,6人の合格者と思しい人たちが。
三角巾で吊った僕の腕が目立ったのか、その全員から見定めるような視線をもらう。
その中の何人かはなんだか僕の顔を知っているような素振りで、……あ、いや、きっと僕ではなくて『始末屋ジャズ』の顔なんだろうけど。
チッと舌打ちしてそっぽをむかれたり、ふん、と面白くなさそうに鼻を鳴らされた。
もちろん良い気分じゃない……けど、直接絡まれたわけじゃないしとりあえずそういうのは無視して、ゴンたちが来たら一緒に座ろうと広く空いてる場所を目当てに段を上がる。
だけどその途中に、先に席に着いていた、ゴンたちぐらいの小さな女の子と目が合って。
思わず足が止まってしまった。
いっそ場違いなくらい可愛らしいドレスに身を包んだ、お人形みたいな顔立ちの小さな女の子だ。
ゴンとキルア以外にも子供がいたことにまずびっくりした。
その後で、なんとなくだけど天空闘技場で初めてズシと会ったときのことを思い出して、自然と笑みが浮かんだ。
仲良くなれるかな?と思って、そのまま笑顔で片手を振ってみる。
すると女の子は目をぱちくりさせて、僕からのコンタクトを拒むように、ぷいっと反対側を向いてしまった。
……あれれ、驚かせちゃったか。
まあ女の子が1人、僕ぐらいの歳の男から急ににこやかに手を振られて警戒しないわけもないんですけども。……ちょっと寂しい。
『……つっても、こんな懸賞金目当ての合格会場に1人でふてぶてしく座ってる時点で、ただの幼女なわけねーんだけどな』
再び階段を昇りながら、ふうと小さくため息を吐いているとジャズからそんな慰め?の言葉をもらう。
…いや、その通りといえばそうなんですけどね?
『そうは言ってもせっかくゴンとキルアと同い年ぐらいの子と会ったんだから、ちょっとぐらいはお話してみたいじゃないですか。ズシとだって、闘技場では仲良くなれたんだし…』
『あの時とは状況が全然違げーだろ。ゲームクリアの目的は一緒でも、向こうからすれば500億の懸賞金目当てのライバルだぞ?お前みたいなお人好し、利用されるだけされてポイなんてオチが良いトコだ。
あの幼女だってあの歳で、あのナリでソロハント一丁前にやってるなんて、並みの幼女じゃねーのは確かなんだからよ』
『…むー。それはもちろん一理ありますけど…』
なんか意地悪だなぁ。
せっかくのゲームなんだからもうちょっと楽しもうとか、ないんですかね。
『だーから、オレはお前とこいつらじゃゲーム参加の経緯も目的も違うんだって話を……』
『わかりましたわかりました。気を付けますってば』
確かに、ジンさんの情報が目的でゲームをしたい僕らと、おそらくは500億の懸賞金が目当てでゲームクリアを目標に参加するこの人たちとじゃ話が合わないだろうっていうのは仕方ないところなんでしょうけど。
こんな小さい女の子相手にしてまでそんな目くじら立てなくてもいいと思うんだけどな。
女の子より2列くらい後ろの、誰も座っていない段の真ん中の席に着いてちょっぴりため息。
ゴンとキルアを待つ間、斜め前に座る女の子のツインテールをなんとなしに眺めてたら、それがちょっと動いて――――女の子が、チロリと僕の方を盗み見てきた。
僕もまた同じように視線を向けていたことに気付くと、女の子は慌ててサッと前を向いてしまったけど、………うん。なんだろう。そのうち仲良くなれそうな気はしてきた。
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