Clap!
□Make it up!(パチ、パチ)
2ページ/13ページ
「こっちおいで」
「?」
私はタニさんに呼ばれるまま、側に寄った。
ソファに座っていたタニさんに引き寄せられて、
「わ、わっ」
ぽす、とタニさんの腕の中におさまる。
後ろから抱きしめられている形になって、私はタニさんの顔を見るために仰いだ。
「タニさん、どうしたの?」
「別に、こうしたかっただけ」
きゅ、と回す腕の力が強くなって。
ふわりと、タニさんの香水が香る。
抱きしめられたあとはその香りが私に移る。
それが、私にとっては小さな幸せの一つだったり。
「やっぱ落ち着くわ、」
「私は落ち着かないよ」
反論した私に、タニさんは眉をひそめて。
「何で?」
怪訝そうに尋ねるタニさんは、私の予想するそのままで、ついつい笑みが漏れる。
「タニさんがかっこいいから、落ち着かないの」
タニさんは、面食らったみたいな顔をした。
そしてそれはすぐに微笑みに変わって、
柔らかく私の頬に口接けた。
「それはそれは…、」
「男冥利に尽きますなあ」
「ふふ、何、それ」
回された腕にそっと手を添えて。
タニさんの香りが、一層強くなった。
amer-穏 や か な-
(ちょっと、一応女なんだから否定してよ)
(あ、ごめんなさい)
(まあ、可愛いから許すけどー)
...