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□『春が訪れて』
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『綺麗だなぁ〜…。』

『本当、綺麗だよ…。』

『コラコラ、そこ二人!見惚れてないで今日は呑もう!!』

春到来で咲き乱れる満開の桜の木の下。
この三人も、例に漏れる事無く花見へとやって来ていた。
スカッと晴れた青空に、淡い桃色が春の訪れを知らせている。
蕾が膨らむ数日前から、いつもと違うジョギングコースで穴場を見つけていた三人。
場所取りに頭を抱える事無く、思う存分桜の木を独占中。

『いや、ドンワン・ブルーの上腕筋…素晴らしい鍛え方だよ?!』

『僕だって頑張って鍛えてるのに…やっぱりまだまだ適わないんだね。』

『そんな事無いって!ミヌ・レッドの腹筋も、ジニ・グリーンの背筋だって綺麗じゃないか!!』

その言葉に二人が嬉しそうに笑い合う。

『わぁ〜、何だかドンワン・ブルーに誉められると嬉しいね!!』

『確かに!何か自信付くよな?!』

『おいおい、そんな煽てても何も出ないぞ?』

言いながらも、持参のバックから何やら取り出すドンワン・ブルー。
その手には小さくパック分けされた顆粒が握られている。

『とか言いながら〜!僕等に早く見せたかったくせに♪』

『そうだよ、ドンワン・ブルー自慢したそうだったもんね〜。ま、見た所効果は上々みたいだな。』

『だって、試してみて良かった物は皆で使わなきゃ!俺達三人で筋トレンジャーなんだしな!!』

せかせかと三人分を取出し均等に分けだしたドンワン・ブルーと、目を輝かせてその手を見つめるミヌ・レッドとジニ・グリーン。

『さ!今日のメインディッシュでもあるコレを!!』

『そうだね!でも、お酒に混ぜても効果はあるのかな?』

『効果は無かったとしても、害になる事は無いだろ?なんて言っても【高級プロテイン】だ!』

テキパキと封を切り各々の飲み物へと混ぜていく。
乾杯の音頭もそこそこに、三人は満足そうに飲み干した。

『…っくあ〜!美味い、美味いよ!やっぱり高級プロテインだからか?!』

『うんっ!何だか止められない味だよね?!美味しい上に筋肉に良いなんて…本当最高!!』

『ワハハハ!いやぁ〜高いけど……止められないだろ?!』

花より筋肉・プロテイン。
筋トレンジャー達の前では、満開の桜も只の木だった。



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