小説 陰

□黒の廃校
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□始まりの教室

※久下沼 悠

「…う!…ゆ…!」
どこからか声がする。
「悠!」
私を呼ぶ、この声は…。
「…しず…か?」
ゆっくり目を開けると、目の前に静香の心配そうな顔が有った。
「あれ…?、私…」
頭を振りつつ、身体を起こした私は、周りを見てその異様さに鼓動が早まるのを感じた。
「ここ、何処…?」
私が倒れていたのは教室の床だった。…といっても、私が通っている学校の教室じゃない。
「わかんない…目が覚めたら此処にいて、横に悠がいて…」
静香も何が何だか判らない様だった。
改めて、周りを見回してみる。
古い木造の教室。黒板が有り、教室の後ろには机と椅子が寄せられている。
何故か、一つだけひっくり返ってた。
そして…
「お目覚めかな?」
「え…」
知らない男の人が話しかけてきた。
教室には私と静香の他に、若い男の人、体格の良いおじさん、無精髭を生やした男、眼鏡をかけた男の人、少し派手な感じの女の人がいた。
「あなたは…」
若い男の人は、口を開きかけた私を片手で征して…
「全員起きたみたいだし、自己紹介でもしないか?」
周りの人達に呼びかけた。
「なんでだよ?」
無精髭の男はめんどくさそうに答える。
「なんで…ってなぁ…」
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