長編小説
□第11章〜A
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「行ってくる」
そう言い残して、仲間が未来へと歩き始めた。
その背中を見ながら、誰ひとりとして声は発しない。だが、心の中では同じことを呟いていた。
『行ってらっしゃい』
そして、その背中は見えなくなった。
「行っちまったな…」
「そうだね…」
ハワードとシンゴが口々に呟いた。
「カオルなら心配ないさ」
「せやな。ハワードじゃあるまいしな」
ハワードはチャコに詰め寄るが、どこか勢いがないような気がする。
またメノリとシャアラも会話に入ってきたが、ルナだけはカオルの歩いて行った先を見つめていた。