novel
□死神家族日記
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地上の遥か上か、はたまた下か──否、案外近くにあるのかも知れないこの世界、通称「死神界」。
そこで彼らは暮らしている。
罪人の罪を裁くべく、彼らは時間、天候を問わず働いている、働き者の種族なのだ。
そんな「死神界」で暮らす、なんの変哲もなさそうな家族───彼らもそんな種族の仲間である。
隣近所からは「仲が良い」とか、「働き者」だとか、評判はなかなかのものだ。
ただ、1つ問題なのは───
「うわぁあ!!ちょ、水、水道!!」
不意に少年の叫び声が響いた、その刹那
ドカーン、と盛大な音と共に周囲に爆風と砂埃が舞い、屋根の瓦やらなんやらが地面に落ちて割れる。
近くを歩いていた人達は、慌てて遠くへ逃げたり、その場へ伏せたりと、思い思いの形で対処をしていた。
やがて砂埃が薄くなり、爆発した家から這うようにして、その家に住んでいるであろう人達が出てきて、そしてその場に倒れこむ。
「またまた、ハードな事故だねぇ」
隣の家から出てきた人に笑いながらそう言われ、父親は苦笑いを浮かべた。
───そう、彼らの日常は、ハードなのだ。