双子恋愛

□気づけば初恋
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「…えっ!?女の子じゃないのっ?」


「……うん」



帰り道、女の子と思っていた子は男の子だと判明。

一つ年上で、オレとおんなじ小学校に通っている。
通っているって言っても転校生らしく、まだ4月だから入ったばっかりと言う。



「ごめん…女の子かと思ってた」


「ううん、いいよ。よく言われてるから」



りおは優しいね。
そう言った『彼』は、少し悲しそうに笑った。オレは悪い事をした気持ちになった。







「…髪?」


「色と、天パと……あと目の色だったりで。変だって…」


「そう?キレーな色だと思うよ」


「……本当?」


「うん、目の色とか好きだなオレ」


「…………あ」


「うん?」


「…ありがとう」


「いいえ」










「見た目もコレだし、女の子だーって言われるし。オレ弱いから…」


「前の学校で?」


「うん。今の学校は、みんな優しい。おんなじ男の子も、一緒に遊んでくれる」


「ふーん……オレもみんなと遊びたいなあ…」


「…じゃあ明日の休み時間、りおに会いに行くよ。一緒に遊ぼ?」


「いいの?」


「いいよ。遊ぼ?」


「…うん!」












色々話して、時間を忘れて。


気がついたら家の前だった。しかも…辺りはもう薄暗くて、夕日が辛うじて周りを照らしている。
兄ちゃんに怒られるかなあ、と思った。




「ここ?」


「うん」


「そっか。じゃあオレ、あっちだから」


「あっ!いっ…一緒にいてくれてありがとうっ」


「いいよ、オレも楽しかった。じゃあまた明日」


「うんっバイバイ!」




たーっと走って行ってしまった彼は、すぐに角を曲がって見えなくなった。


一人立ったままのオレは、初めての感情を胸に家にゆっくり入った。



当然、親より先に怒った兄ちゃん。
「今日はやり返したか」と聞かれ、首を横に振ってまた怒られる。



でも終わった後は、ぐしゃっと頭を撫でてくれる。兄ちゃんは、ホントは優しい。






部屋で今日の出来事を思い返す。



いい日だった。
胸がまだ温かくて、その胸も頭の中も今日出会った彼が離れない……だけど。



「…名前…聞かなかったなあ」



自分の名前は言ったのに、彼の名前を聞かなかった。言われもしなかった。

残念に思ったけど、明日会えるんだ。そう思うと、久々に楽しみになった明日。




早く明日になれ。


そう思って、その日は早々とベッドに入った。




気づけば初恋
(彼の笑顔で頭がいっぱい)(この気持ちってなんだろう?)





「りおーっ、遊ぼう!」


「っ……うん!!」



END.
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