双子恋愛

□禁断の恋とはこの事
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どうして好きになってしまったのだろう。


好きになるのに理由はない、なんてドラマでもマンガでも言うけれど。










これでも…いいの?




















「…準太」

「……元希…」




2人の少年は両手を相手の手と手で繋ぎ合い、向かい合っている。


少しつり目の少年はクスリと笑い、正面で悲しそうに眉を寄せて見つめてくる少年に話しかける。




「…そんな泣きそうな顔すんなよ」

「だって…元希は悲しくないのかよ」

「悲しいよ。でもずっと会えない訳じゃないし、電車乗ればすぐ会えるし」

「…そんな簡単に……」




シュンと寂しそうに下を向く少しタレ目の少年に、つり目の少年はあ〜っと声を上げる。




「そんな顔すんなよ〜、可愛い顔してんのに」

「嬉しくない」

「はいはい、でも可愛いから」







手を放し、近づいて抱き締めあう。



強く強く。

相手の温もりを感じるように。忘れないように。




―離れたくない



2人の胸は、悲しみでいっぱいだった。






「…準太……絶対会いに行く。いつになるか分かんないけど、早く行く」

「うん……待ってる…。だから、忘れないで…元希」




寄せた唇は、温かかった。











それは、2人が8歳の時の出来事。





離婚という、大人の行動により離された『双子』。





ファーストキスの相手は、弟。

ファーストキスの相手は、兄。










好きになったのは、兄弟。






禁断の恋とはこの事
(その頃は、それが悪いこととは思わなかった)(大きくなっても、それは変わらないと信じる)




END.
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